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冬タイヤ交換シーズンに工場が備えるべきこと

~国交省データで読む車輪脱落事故の傾向~

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2026/11/03

国土交通省は10月1日、「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」を10月から2027年2月まで実施すると発表。2025年度の大型車の車輪脱落事故は128件で前年度より8件増加していた。調査対象は車両総重量8トン以上または乗車定員30人以上の自動車で、ホイール及びボルトの折損やホイール・ナットの脱落により車輪が脱落した事故としている。事故数の128件のうち89台については、部品劣化や損傷状態、タイヤ脱着作業の実施状況を確認する事故車両調査が行われている。


事故契機は「冬場」・「作業直後」・「左後輪」に集中

2025年度の車輪脱落事故には、次の傾向が表れていた。

・約半数の事故が11月から1月の冬季3ヵ月間に発生(128件中64件)
・5割以上の事故がタイヤ脱着作業後1ヵ月以内に発生(69件、約54%)
・9割以上の事故が左後輪で発生(約95%)
・約85%がタイヤ交換などの作業後に発生

これらの数字が示すのは、事故の多くが偶発的な故障ではなく、脱着作業とその後の保守管理に起因している可能性が高いということ。発生件数は前年度の120件から128件へ増えており、国交省も「更なる対策が急務」としている。


作業後1ヵ月以内の事故が半数以上を占める

データからは、作業直後が最も危険な期間となっている。脱着後1ヵ月以内の事故が69件と突出しており、2ヵ月以内は21件、3ヵ月以内は16件と時間が経つほど減っている。締め付けの不備や部品の清掃不足は交換から間もない時期に表面化しやすいということだろう。作業当日の仕上がり品質に加えて、初期のナットのなじみを見越した増し締めの推奨が事故防止に直結しうる。
また地域別に見ると降雪地域で多く事故が発生しており、冬タイヤへの交換作業が集中する地域ほど件数が増えやすい傾向が見られた。


整備士であっても
作業では「締付力管理不備」が最多

タイヤ脱着作業の実施者別の統計では、大型車の使用者(運転者)が56%、タイヤ専業店が27%、自動車整備事業者が13%、不明・その他が4%だった。使用者自身による作業が過半数だが、工場での整備士による作業でも事故は起きている。着目すべきなのは、どの作業実施者でも「締付力管理不備」が最も多く確認されたという点。
作業映像を記録していた一部の整備事業者の事例では、「締付力管理不備」12件のうち6件で、ホイール・ナットの締め忘れが確認されていたという。また潤滑剤塗布の不適切も、いずれの作業実施者であっても依然として多く見受けられた。
保守管理面の不備では、増し締め未実施が20%、点検時確認不備が14%、増し締め力の管理不備が5%、増し締めの時期不適切が3%となっている。作業時の不備と作業後の管理不足が重なって事故につながった実態が散見された。


事故車両に残っていたサビと油分不足

89台を対象とした事故車両調査では次のような状態が確認された。

・ホイール・ナットとワッシャのすき間に潤滑剤が塗布されておらず、スムーズに回転しないまたはワッシャが固着している
・ホイール・ボルトやナットに著しいサビや、ゴミ等の異物が付着している
・ディスク・ホイールやハブに著しいサビがある

個別事例では、ボルトのネジ部にサビと痩せがあり油分もなかったもの、ハブのディスク・ホイール当たり面にサビが付着していたものなどが報告されていた。正しい締め付けトルクをかけても、サビや油分不足によって十分な締め付け力が得られない場合があるため注意したい。



工場経営の視点で見ると繁忙期の工賃をめぐって安さと確実さを顧客にどのように示すかが問われる。清掃や潤滑剤の塗布、増し締めの案内といった見えにくい工程を料金の中身としてどう説明するか。価格の説明が難しい時期だからこそ、運転者の安心・安全を守るためにも事故調査の結果は作業の価値を伝える材料になりうるだろう。


参考資料:国土交通省「冬用タイヤ交換時には確実な作業の実施をお願いします!」