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【業界動向・実務担当者向け】7月10日改正法案成立、改正個人情報保護法による自動車業界への影響
AI特例の創設と課徴金制度導入に伴うデータガバナンスの強化について
2026/07/14
7月10日、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」が参議院本会議で可決され成立した。2025年6月13日のデジタル行財政改革会議での「データ利活用制度の在り方に関する基本方針」などを踏まえた同案には、AI活用に寄与する円滑なデータ連携を促進するための特例と、課徴金制度の新設、刑事罰の強化が盛り込まれた。
施行後は、提供先における当該個人情報の取扱目的の全部が統計作成等目的であり、必要事項の公表や書面による合意などの要件を満たす場合、個人情報を本人の同意なく第三者に提供できる特例が適用される。また、取得する時点で公開されている病歴等の‟要配慮個人情報”についても施行後は特例が適用される。
なお、統計作成等の特例と課徴金制度を含む主要規定は公布日から2年以内の政令で定める日に施行される。
参考資料:個人情報保護委員会、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」の閣議決定について
統計作成等に該当するAI開発向けデータの利活用
自動運転システムの開発では、公道を走行する車両のカメラ画像や、LiDARなどのセンサーから得られる点群データを含む大量の実走行データが用いられる。自動運転用の映像等には、識別可能な顔画像などの個人情報が含まれうる。特に、複数事業者がそれぞれの目的でデータを共有してAI開発に利用する場合、利用目的や第三者提供規制への対応が課題となっていた。
こうした分野・事業者を越えたデータ連携上の課題を背景に、適正なデータ利活用の推進を目的に‟統計作成等の特例”を創設する規定が盛り込まれた。なお、法律案要綱において“統計作成等”とは以下のように定義されている。
「統計の作成その他の大量の情報から当該情報を構成する要素に係る情報を抽出して分類、比較その他の解析を行うことにより、当該大量の情報の傾向又は性質に係る情報(個人に関する情報であるものを除く。)を作成する行為のうち、個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして個人情報保護委員会規則で定めるものをいうものとする」(第2条第13項関係)
また、個人情報保護委員会の概要資料では、「統計作成等であると整理できるAI開発等」も含まれると説明。さらに、この目的において第三者へデータを提供する際の要件も緩和される予定である。本人同意を不要とする第三者提供特例の主な要件は、以下の通り。
・提供先における当該個人情報の取扱目的の全部が、統計作成等目的であること。
・提供元と提供先の双方が、両者の氏名または名称、行おうとする統計作成等の内容、その他個人情報保護委員会規則で定める事項を、インターネット等で公表すること。
・提供元と提供先の書面による合意において、同特例に基づく提供であることを明確に定めること。書面には電磁的記録を含む。
・提供先が取扱期間中、必要事項を継続して公表し、公表された統計作成等の範囲を超えて利用しないこと。
・特例によって受領した情報の第三者への再提供が、原則として制限されること。
これら法令及び今後制定される個人情報保護委員会規則上の要件を全て満たす場合に、本人同意なしの第三者提供が認められる。
なお、ベンダーがカーメーカーの指示の下でデータ処理を行うだけの委託であれば、現行法上も通常は第三者提供には当たらない。同特例の適用が検討されるのは、たとえば、ベンダーが委託業務の範囲を超え、かつ統計作成等に該当する自社モデル開発などの独自目的でデータを利用する場面である。
悪質な違反行為を抑止する課徴金制度の導入
データ利活用の特例が設けられる一方で、規律遵守の実効性を確保するための事後規律も強化される。その中核として‟課徴金制度”が導入される。同制度は、‟経済的誘因のある、大量の個人情報の取扱いによる悪質な違反行為を実効的に抑止するため”に新設される。
法律案要綱によれば、課徴金対象行為またはその中止の対価として金銭等を得た場合、原則として当該金銭等を基礎に算定した課徴金の納付が命じられる。ただし、違反期間を通じて違反防止のための相当の注意を怠っていなかったと認められる場合や、対象となる本人が1,000人を超えないなど、個人の権利利益を害する程度が大きくない場合には、納付を命じることができない。
加えて、第30条の2第4項または第9項に違反する個人情報の取扱いと、同条第10項または第11項に違反する個人情報の提供は、第148条の3において課徴金対象行為の類型として列挙されている。ただし、実際に課徴金納付命令が出されるためには、違反行為またはその違反行為をやめることの対価として金銭等を得たこと、違反期間を通じて、「違反防止のための相当の注意を怠った者でない」とする法定の除外事由に該当しないこと、対象となる本人が原則として1,000人を超えることなど、同条所定の要件を満たす必要がある。
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