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【速報】日車協連の団体交渉、東京海上と工賃単価アップなどで合意

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2025/04/24

日本自動車車体整備協同組合連合会連(以下、日車協連)は4月24日、東京海上日動火災保険(以下、東京海上)との間で、同会所属の組合員の車体整備工場に入庫する際に適用する時間当たり工賃単価(以下、工賃単価)について、団体協約を締結に至ったと発表した。協約の正式な発効は、6月に開催される同会の総会で承認を経てからとなる。

合意内容
日車協連が東京海上との間で取り交わした合意内容は、主に2025年の工賃単価関するもので、詳細は次の通り。
 

「2024年工賃単価」×「消費者物価指数(+2.7%)」+「設備投資に関する加算」+「人件費上昇分」
 

産業廃棄物処理費用について、日車協連の求めに応じ、東京海上は支払いについて協議を行う。

団体協約の有効期限と今後の展望

団体協約の適用期限は2026年6月8日まで。ただし、団体協約締結後も、双方が工賃単価について協議の必要性があると判断した場合は、協議の場を設けることを確認した。日車協連と東京海上は、今後も継続的に協議を続ける。

日車協連 小倉会長・泰楽委員長の共同声明

同会小倉会長と泰楽法対策委員長は記者発表で「具体的な料金の上昇幅は個々の事業者によって異なりますが、上昇率は12.1~27.9%(平均18.8%)となり、17.5%以上という当初の目標はひとまず達成したと判断しました。今回の値上げには、2024年の消費者物価指数上昇率2.7%に加え、人件費の上昇や設備投資にかかる費用などが含まれています。これは、はじめの一歩です。当会は整備内容と料金について明確にし、引き続き粘り強く交渉を進めて参ります。最後になりましたが、価格交渉の目的は、自動車車体整備業界で働く人材を確保するための資金を得ることにあります。この業界を持続可能なものとするためにも、今回の料金改定によって得られた大切な資金を、従業員の待遇改善に最優先で活用していただきたい」とコメント。工賃単価引き上げの果実を従業員への還元に充てることを強く求めた。

本格的な価格交渉は約30年ぶり 価格決定権が車体整備事業者へ

長きにわたり閉ざされていた扉が開いた。1994年以来、車体整備事業者は自らのサービス価格を自由に決めることができなかった。それが昨年、ようやく交渉のテーブルに着き、一つ、合意点を見出したのだ。これは、他業種では当たり前の権利を、車体整備事業者が自らの手で取り戻した、まさに歴史的な瞬間と言えるだろう。その現場に立ち会えたことは、業界の動向を注視する一記者として、深い感慨を覚える出来事であった。
しかし、権利の行使には責任が伴う。国土交通省が示したガイドラインと指針に従い、これからの車体整備事業者には、提供する整備内容や、その価格について、より一層の透明性が求められる。ていねいな説明はもちろんのこと、しっかりと記録を残していくことが当たり前となる。
ここで、あえて言及しておきたいのは、この話題でとかく批判の対象となりがちな損害保険会社の動きだ。実は、大手各社は一昨年あたりから、2020年以降の急速な消費者物価指数の上昇を受け、自主的に工賃単価の引き上げを進めてきたという事実がある。アジャスターマニュアルにも、前年の工場経費に変動費として消費者物価指数を考慮にするよう明記されている。決して、物価の上昇を無視してきたわけではないのだ(むしろ、長年続いていたデフレ時には消費者物価指数の定価を理由にした値下げには慎重であった)。
車体整備事業者の方々も、この点は理解してほしい。互いを尊重しながら、建設的な対話を通じて適正な料金について話し合いを続けていくこと。決してどちらかに偏ってはならないのだ。