JOURNAL 

スパグリSRを愛でる会withホワイト参加者インタビューその②

偶然の発見から始まった物語。20年の時を経て再びロードスターと歩む道

  • #インタビュー

2026/08/03

 7月26日、マツダR&Dセンター横浜にて、初代NAロードスターの最終章を飾った限定車「SRリミテッド」のスパークルグリーンメタリック(スパグリ)とシャストホワイト(ホワイト)が集う「スパグリSRを愛でる会withホワイト」が実施された。


 「SRリミテッド」はNAロードスター最後の限定車だ。車体色はスパグリとホワイトから選択でき、ホワイト414台、スパグリ366台の合計780台が販売された。いかに希少であるかがわかるだろう。


 今回、参加者の中から「よこマミ」さんになぜここまで希少な車を所有するに至ったのかについて聞くことができた。


ペンネーム
よこマミ


息子が『リトラクタブルのこれが絶対いい』って


 よこマミさんがNAロードスターを手に入れたのは、今年5月に免許を取得した長男のためだった。当初はNDロードスターを探していたが、長男の強い希望はリトラクタブルヘッドライトを持つNAロードスターだった。実はよこマミさん自身、社会人になって間もない30年前にNAロードスターに乗り、その後RX-7(FD3S)へと乗り継いだ生粋のマツダ車ファン。長男の何気ない一言は、かつての熱い記憶を呼び覚ますものでもあった。


 「30年前の車だからやめとけと言ったんだけど、それでも欲しいと」。長男の熱意に押され、グーネットでNAロードスターを探し始めた。特にグレードにはこだわらず、1.6リッターでも1.8リッターでも構わなかったという。そんな中で最初に目に留まった一台を見に行き、そのまま購入を決めた。


 納車後、詳しく調べてみると、その車がNAロードスター最後の限定車である「SRリミテッド」だと判明する。「欲しくて買ったんじゃなくて、買ってみたらSRリミテッドだった、という感じ。皆さんにほんと申し訳ないです」と、少し恐縮した様子で語る。良質な個体を探していたら、偶然にもそれが希少な限定車だった。なんと運命的であろうか!


別のイベントへの参加が繋いだ新たな縁


 この運命的な出会いは、さらなる縁を引き寄せた。先週、長男と一緒にロードスターのイベントを訪れ、駐車場にSRリミテッドを停めていたところ、今回のイベントに参加しないかとに声をかけられたのだ。息子が購入した初心者マークが貼られたロードスター。そのシートを一目見てSRリミテッドだと見抜いた彼らは、今年唯一の参加であるホワイトの発見に興奮し、今回のミーティングへの参加を熱心に誘った。


 「この会の存在も全然知らなくて。ロードスターのイベントに来た結果誘われた」。車の持ち主である長男は自衛隊員であり、任地である広島に戻ってしまったが、よこマミさんは「俺は暇なんで行きます」と二つ返事で参加を快諾した。


13台が集結! オーナーさんたちも楽しそう

悲しい別れと20年ぶりの再燃


 よこマミさんがかつて所有していたNAロードスター(NA6CE)との別れは、突然で悲しいものだった。父親にNAロードスターを貸した際、高速道路での事故により全損。幸い父親は無事だったが、愛車は二度と帰ってこなかった。「自分が壊したわけじゃない。だから部品がなくなるとかじゃなくて、帰ってこなかった」。笑顔で語るその言葉の裏には、やり場のない思いが滲む。その後、RX-7に乗り換えるも、結婚や子育てを経て、ホンダ・ステップワゴンといったファミリーカー中心の生活を20年ほど送ってきた。


 スポーツカーへの情熱は心の奥底に眠っていたが、長男の「ロードスターが欲しい」という一言が、その長きにわたる眠りを覚ました。「まさかまた乗ると思わなかったけど、乗ったらもうだめです」。久しぶりに握るマニュアルのシフトノブ、身体に染み付いたヒール・アンド・トゥの感覚。すべてが蘇り、よこマミさんのカーライフは再び熱を帯び始めた。


元気になれるし、自分が幸せになれる


 「息子が乗らなくなったら俺がもらって、運転できなくなるまでずっと乗りたい」。よこマミさんは、このSRリミテッドとの未来をそう語る。30年の時を経て、NAロードスターは彼にとって単なる移動手段ではなく、人生を豊かにするパートナーとなった。


 現代の車は、ボタン一つで高速道路を走り、安全機能がドライバーを補助してくれる。それは便利で快適だが、NAロードスターにはそれとは違う価値がある。「信号待ちで足がピクピクするし、あんな楽しいものはない」。初代ロードスターのカタログに書かれた「幸せになる」という言葉を、今、よこマミさんは身をもって実感している。


 不便さや苦労さえも楽しみながら、車を通じて人と繋がり、若返ったような気持ちになる。「この車の持ち主である長男は今、広島にいるので、しばらくは私が所有することになります」。そう笑った、よこマミさんは、これからNAロードスターに乗ろうとする人々へ伝えたいことがあるという。「元気になれるし、自分が幸せになれる」。長男の何気ない一言から始まった偶然の物語は、これからも多くの出会いと喜びに満ちた道を走り続けていくことだろう。