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豊田合成、革新的ステアバイワイヤ用ステアリングホイールを開発
2025/05/09
豊田合成は、「ステアバイワイヤシステム用ステアリングホイール」を開発した。トヨタ自動車のBEV(電気自動車)「LEXUS RZ F SPORT」(XEBM15、XEBM10)に搭載されている。
ステアバイワイヤシステムは、ステアリングとタイヤを機械的に接続せず、電気信号によって操舵制御を行う先進技術。これにより、同製品は、Uターンや駐車時におけるステアリングの大きな回転操作を不要とし、航空機の操縦桿を彷彿とさせる、コンパクトでスタイリッシュな形状を実現した 。
この新たなデザインの実現には、豊田合成が長年培ってきた「人間工学に基づくステアリング構造・グリップ形状の設計技術」や「本革・合皮の革巻きなどの生産技術」が活かされている。
ステアリングのバイワイヤ化では、日産のスカイライン(V37系)に搭載されたダイレクトアダプティブステアリングが先行例として挙げられるが、これは主に応答性の向上や走行安定性の向上を目的としたものであった 。
一方、LEXUS RZに搭載されるステアバイワイヤシステムは、中立位置から左右約200°の範囲での操作を可能とし、従来の円形ステアリングの制約を受けない、より自由度の高いデザインを可能にした。
ここからは筆者の私見だが、ステアリングのバイワイヤ化が進めば、ステアリングを回して舵角を操作する必然性がなくなり、ゲームのコントローラーのようなステアリングも出てくるかもしれない。
一方で、舵角操作量が車両によって大きく変化することになり、車両の操作感に個性を演出できる余地がある反面、ドライバー側にある程度の慣れを求めるようになるのではないか。
そして、何よりステア操作の責任はシステムか、人かブレーキやアクセル操作と同様に事故原因に大きく影響するだけに、ドライバーの運転関与度の低下を意識させない車づくりが自動運転社会到来までの過渡期において重要ではないかと感じさせられた。
写真は、LEXUS RZ550e“F SPORT”。2025年5月現在国内未発表。