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【次世代モビリティ】デンソーテンが車載向け生成AIを開発!鈑金工場も知っておくべきHMIの進化
2026/06/17
2026年6月16日、デンソーテン(本社=兵庫県神戸市、代表取締役社長=米本 宜司)は、車載エッジデバイス上でRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)を省メモリで実行可能とする生成AI技術を開発したと発表した。 最大の特徴は、独自の埋め込みモデル再学習技術により、検索用ベクトルデータベースを軽量化しながらも検索精度を維持できる点にある。本記事では、開発の背景、技術の概要、および今後の活用イメージを順に整理する。
【開発の背景】「精度を取ると重い、軽くすると精度が落ちる」というトレードオフ
近年、生成AI(LLM:大規模言語モデル)は車載HMIの分野で急速に活用が進んでいる。
対話アシスタントによる目的地設定・ナビゲーション、ニュースやエンターテインメント情報の検索・提案、車両機能制御といった用途がその代表例だ。
しかし、LLM単体では学習していない最新情報や車両・ユーザー固有の情報に正確に対応できないという課題がある。
これを補う技術としてRAGが注目されているが、RAGの実装には埋め込みモデルと大量の検索用ベクトルデータベースが必要となる。メモリ容量や処理性能に制約のある車載SoC・エッジ環境への実装が難しく、「精度を取ると重い」「軽くすると精度が落ちる」というトレードオフが課題となっていた。
【技術の特長】メモリ容量を30〜60%削減しながら高精度を維持
デンソーテンが開発した本技術の主な特長は以下のとおりである。
・軽量かつ高精度を維持できる独自の埋め込みモデル学習技術により、車載エッジでの実行を前提としたベクトルデータベースの省サイズ化を実現
・公開データセットを用いた評価において、既存モデルと比較し、メモリ容量を30〜60%削減しながら高い検索精度を維持
なお、本学習技術は「言語処理学会 第32回年次大会」(2026年3月9日〜13日、ライトキューブ宇都宮開催)において、「Matryoshka表現学習を考慮した埋め込みモデル蒸留」として発表済みだ。
【活用イメージ】プライバシー保護とパーソナライズを両立する対話体験へ
本技術は、LLMによる対話アシスタントへの適用を想定している。
神戸大学大学院システム情報学研究科の滝口教授は、「一人ひとりに寄り添う対話システムの実現には、各ユーザーの意図や好みを踏まえた応答が求められる。こうした情報はプライバシー性が高いため、インターネットに依存しないローカル環境での運用が望まれる。車載エッジデバイス上でRAGを用いた対話システムを実現する技術の重要性は、今後さらに高まる」とコメント。
車載エッジへの実装により、ドライバーや同乗者一人ひとりに寄り添った、自然で安心感のある対話体験の実現に寄与するとしている。
デンソーテングループの取り組み方針
デンソーテングループは、企業ビジョン「VISION2030」のもと、「人に寄り添うHMI」「環境にやさしい電動化」「クルマと社会をつなぐデータ連携」を軸に、クルマの価値向上に取り組んでいる。
今後は自動車メーカーやパートナー企業と連携しながら、交通事故ゼロやカーボンニュートラルといったモビリティ社会の課題解決を目指す方針だ。