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最近相次いで樹脂バンパ補修塗装指数が取り下げられている件
2025/04/07
このところ、自研センターが相次いで樹脂バンパ補修塗装指数を取り下げていることをご存知だろうか。取り下げの背景には、カーメーカーの修理方針と指数設定の整合性に関する事情が絡んでいる。
具体的に見ていくと、自研センターは1月以降、「変形修正・外傷修正大・外傷修正小」に関する樹脂バンパ補修塗装指数を複数の車種にわたって取り下げており、その対象は特定の車種に集中している。たとえば、日産・アリア(FE0、SNFE0系)やフェアレディZ(RZ34系)、スバル・BRZ(ZD8系)などが含まれており、これらの車種ではバンパーの裏側にサイドレーダーが搭載されている。
この問題の核心は、サイドレーダーがバンパー補修の可否に影響を与える点にある。カーメーカーによっては、サイドレーダー搭載車両のバンパー補修を認める場合と認めない場合があり、この判断は車種や生産時期、装備によっても異なる。
自研センターが指数を取り下げた車種は、いずれもバンパー内側にサイドレーダーが設置されており、かつカーメーカーがバンパー補修を禁止しているものだ。しかし、なぜカーメーカーが補修を禁止しているにもかかわらず、指数が設定されたのか。
指数作成の前提として、自研センターは「(作業方法は)原則としてカーメーカーの修理書に記載された作業方法と手順、道路環境に則った作業をカーメーカー指定または推奨する工具を使用して行う」としている。ただし、「自研センターにおいて安全確実な修理が可能でより合理的な作業が可能と判断した場合はその方法による」ともしているのだ。
この点から考察すると、一旦発表された指数は、自研センターが「安全確実な修理が可能でより合理的な作業が可能と判断した」結果であると考えられる。しかし、どのような確認を経てこの結論に至ったのかは疑問が残る。この状況について筆者は、自研センターが指数作成の根拠とする基表に基づく構造調査の限界を示唆しているのはないかと感じている。(樹脂バンパ補修塗装指数ではバンパーの部分補修を想定していない。つまり、樹脂バンパーは一本まるまる塗装することが前提の数値となっている)
車体整備事業者にとって、カーメーカーがバンパー内側にサイドレーダーを設置し、その補修を認めていない車両が他にも多数存在することは周知の事実だ。自研センターがこの点についてどのように判断するのか、筆者は注目している。オプション設定の有無によって装備が異なる可能性があるという主張も考えられるが、その場合モデルが終売するまでどの車両であっても当てはまる可能性があり、現在取り下げた車両の事情と矛盾が生じ、十分な説明とは言えない。自研センターには、技術的知見に基づいた明確な説明を求めたい。
さらに、類似のケースとして、フロントサイドフィックスウィンドウ(フロントの三角窓)の脱着・取替指数が挙げられる。多くのカーメーカーが再利用不可としているにもかかわらず、脱着の指数が設定されているこの現状について、自研センターが安全確実な修理が可能でより合理的な作業が可能と判断した具体的な手法や根拠を示すべきだろう。
これらの問題点は、指数が実態と乖離しているという批判や疑念を生む一因となっていると考えられる。業界全体の信頼性を維持するためにも、より透明性の高い指数設定と、十分な根拠に基づいた説明を自研センターに期待したい。
トヨタ・GR86とスバル・BRZは兄弟車だが、取り下げはBRZのみとなっている。これは、GR86のリヤバンパー裏側にサイドレーダーが設置されていないということではなく、補修を認めているため指数取り下げの対象から外れていると見られる。また、マツダ・CX-80は最初から前後バンパーの変形修正・外傷修正大・外傷修正小の数値が設定されなかったことを付記しておく
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