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【人とくるまのテクノロジー展2026横浜:トヨタ車体】現行トヨタ・ヴェルファイアに採用されたボデー構造関連の新技術とは?

リヤスライドドアまわりなど開口部が大きいボデー構造上の不利を環状骨格構造や構造用接着剤などで補う

  • #イベント

2026/07/21

 2026年5月27~29日にパシフィコ横浜で開催された自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」(主催:自動車技術会)。


 トヨタ車体は同社が企画・開発から生産まで一貫して手がけている「ヴェルファイア」のカットボデーと、「ヴォクシー」のからくり機構を紹介するデモ車両を展示した。


 当記事ではこのうち、「ヴェルファイア」に採用されたボデー構造関連の新技術を紹介する。

トヨタ・ヴェルファイアのカットボデー

【フロントパフォーマンスブレース】

 姉妹車種の「アルファード」にはないヴェルファイア専用の補剛部材。ラジエーターサポートとフロントサイドメンバー上面、サスペンションタワーをつなぐことで、加減速や操舵の開始時における応答性を高めている。

トヨタ・ヴェルファイアのフロントパフォーマンスブレース(写真黄色の部位)

【クラッシャブルAピラー】

 斜め前方の死角減少のため三角窓が設けられている同車では、A(フロント)ピラーが上側から下側に向かって分かれているが、このうちフロント側の鋼板の引っ張り強度を低めにし、衝撃吸収部位として設定。


 対してリヤ側のピラーには1,500MPa級などの超高張力鋼板を用いて変形を抑えることで、衝突時のエネルギー伝播とキャビン変形、いずれにおいても乗員へのダメージを軽減している。

クラッシャブルAピラー。写真赤の部位は1,500MPa級熱間プレス材、青の部位は1,180MPa級冷間プレス材

【フロントドア開口周り環状構造】

 フロントドア開口部周辺の骨格に1,180MPa以上の超高張力鋼板を多用し、軽量化と高い衝突安全性を両立。このうち上部には1,500MPa級熱間プレス材を用いてキャビンの変形を抑え、下部には1,180MPa級冷間プレス材など比較的引っ張り強度の低いものを使用し、衝突時のエネルギーを吸収する。

環状構造を形成したフロントドアまわりの骨格

【ストレートロッカー&床下Vブレース】

 従来はフロントドア側とリヤドア側とで断面の大きさが異なっていたサイドシルを、現行モデルではフロントからリヤまで一直線に通した形状を採用。

ストレートロッカー

 また両側サイドシル後端からリヤフロア中央にかけてV字型のブレースを装着しトラス構造とすることで、開口部が大きく剛性を確保しにくいリヤスライドドア周辺を変形しにくくしている。

床下Vブレースの装着イメージ図

【環状骨格構造】

 開口部が大きく剛性が確保しにくいリヤスライドドア周辺の骨格であるB(センター)ピラー及びC(リヤクォーター)ピラー、同じくバックドア開口部周辺のD(リヤ)ピラーの左右を、それぞれルーフクロスメンバーやフロアクロスメンバーと連続させた、環状骨格構造を形成。

Cピラーの環状骨格構造(写真黄色の部位)

 B(センター)ピラーの上下にはさらにガセットも設けることで、ボデーの連続性を高め、車体の変形を抑えている。

環状骨格構造イメージ図及びBピラー下部断面の新旧比較図

【接合技術】

 スポット溶接打点数を従来モデルの1.3倍、構造用接着剤の塗布量を同約5倍に拡大しつつ、接着剤は高減衰タイプと高剛性タイプを部位ごとに使い分け。フロアやクロスメンバーなど剛性が必要な部位には高剛性接着剤、乗員足元などの振動を抑えたい部位には高減衰接着剤を用いることで、高い操縦安定性と快適な乗り心地の両立を図っている。

構造用接着剤が使用されたフロア骨格の一部。写真赤の部位は高剛性接着剤、青の部位は高減衰接着剤

 これらの結果、ボデーのねじれ剛性は50%向上し、10~15Hz帯の振動を約1/3に低減された。

高剛性接着剤及び高減衰接着剤の使用部位

(文・写真=遠藤正賢 図=トヨタ車体)