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【車業界版・今日は何の日】11月5日は「縁結びの日」!現場で使える顧客トークネタ

異種金属接触腐食(電食)のメカニズムと最新ボデーの接合技術

  • #トピックス

2026/11/05

【車業界版・今日は何の日】11月5日は「縁結びの日」!現場で使える顧客トークネタ



11月5日は「いい(11)ご(5)えん」の語呂合わせから、島根県の「神話の国・縁結び観光協会」が制定した「縁結びの日」である。旧暦10月(神在月)に出雲大社へ全国の神が集まり、縁結びの会議を開くという言い伝えにも由来する。
異なる二つの存在を結びつけることは尊いが、自動車の車体構造において「異なる種類の金属」を直接結びつけることは、条件がそろうと深刻な腐食につながる。


電位差が引き起こす「アルミの溶解(アノード反応)」

イオン化傾向と腐食が起きる条件

金属にはそれぞれ、電子を手放してイオン化(腐食)しやすい順位を示す「イオン化傾向(電極電位)」が存在する。腐食が起きるのは、次の3つの条件がそろったときである。

  • 電位の異なる2種類の金属(例:アルミと鉄)が接触している
  • 雨水や融雪剤(塩水)などの「電解質(電気を通す液体)」が、接触部の隙間に侵入している
  • 2つの金属が電気的につながっている

アルミがマイナス極、鉄がプラス極になる仕組み

鉄とアルミニウムを直接接触させた状態で電解質が隙間に侵入すると、電位の低い(イオン化傾向の大きい)アルミニウムがマイナス極(アノード)、鉄がプラス極(カソード)となり、金属間で微弱な電池が形成される。

項目

アルミニウム

鉄(鋼板)

電極上の役割

マイナス極(アノード)

プラス極(カソード)

起きる反応

電子を放出してイオン化し、溶け出す

アルミから電子が流れ込む

見た目の変化

白い粉状の腐食生成物が現れ、ボロボロになる

目立った変化は出にくい

この電池反応により、アルミニウムは電子を放出して溶け出し、アルミ合金パネルが白い粉状に変化して腐食が進む。これがガルバニック腐食(電食)である。接合強度に問題がなくても、腐食によって構造が後から劣化するリスクがある。


構造用接着剤による「絶縁」とリベットボンディングの工法

鉄とアルミは溶接では結べない

近年の自動車は、軽量化と衝突安全性を両立するため、部位ごとに素材を使い分ける「マルチマテリアルボデー」が主流である。たとえば、キャビン周りにハイテン材、ボンネットやフロントフェンダー、ストラットタワーにアルミを採用する構成がある(車種により異なる)。

しかし、鉄とアルミは従来のスポット溶接やMIG溶接では接合できない。融点の低いアルミが先に溶け落ち、ハイテン材やアルミ合金は熱で強度が低下するためである。そこで、熱を加えない冷間接合のSPR(セルフピアシングリベット)などによる機械的接合が採用されている。

パネルボンドで両者の「縁(物理的な接触)」を断つ

異種金属間の腐食反応を防ぐため、鈑金塗装工場で鉄とアルミを接合する際は、両者の物理的な接触を断つ必要がある。そこで使われるのが、2液型の構造用接着剤(パネルボンド)である。接着剤の種類はエポキシ系、ウレタン系など製品により異なる。

鉄とアルミの接合面にパネルボンドを隙間なく塗布すると、接着層が絶縁体(誘電体バリア)として機能し、電子の移動と電解質の侵入を大幅に抑える。

「面」の接着と「点」のカシメを組み合わせる

接着層を挟み込んだ状態で、SPRなどによる物理的なカシメを打ち込む。専用の油圧リベッターでリベットを打ち込むと、上側パネルを貫通したリベットが下側パネルの中でスカート状に広がって固定される。この工程で熱は発生しない。この「リベットボンディング工法」が、最新の車体整備の基本となっている。

役割

担当

効果

面の接合

パネルボンド

接着強度の確保、金属間の絶縁による電食の抑制

点の接合

SPR

機械的な締結強度、熱を加えない接合


まとめ

結論:アルミと鉄は「絶縁してから」カシメる

最新の車体整備は、素材を「結びつける」ために、化学的な「絶縁」を介在させるというパラドックスによって成立している。

  • ガルバニック腐食は、異種金属の接触、電解質、電気的導通がそろうと起き、電位の低いアルミが溶け出す
  • 鉄とアルミは溶接できないため、SPRなどの冷間接合を用いる
  • 接合面にパネルボンドを隙間なく塗布して絶縁し、SPRでカシメる「リベットボンディング」が基本となる
  • 接合方法・位置・順序は、メーカー修理書に従うことが大前提である