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【車業界版・今日は何の日】10月23日は「電信電話記念日」!現場で使える顧客トークネタ

CAN通信の断線と、ツイストペアケーブルにおける「ハンダ付け」の絶対禁忌

  • #トピックス

2026/10/23

【車業界版・今日は何の日】10月23日は「電信電話記念日」!現場で使える顧客トークネタ


■ 10月23日は「電信電話記念日」

1869年10月23日(旧暦9月19日)、東京〜横浜間で日本初となる公衆電信線の架設工事が開始されたことを記念する日である。情報を電気信号に変換して遠方へ伝送する通信技術は、現代の自動車内部において「CAN(Controller Area Network)通信」として極限まで高度化されている。車体のあらゆる電子制御ユニット(ECU)は、この車内ネットワークを通じて毎秒数メガビットという膨大なデータをやり取りしている。


ツイストペアケーブルの構造とノイズキャンセリングの仕組み

CAN通信線が「撚り合わせ」を採用する理由

CAN通信の配線は、通常の電源線とは構造が根本的に異なる。CAN-HighとCAN-Lowの2本の導線が一定のピッチで螺旋状に撚り合わされた「ツイストペアケーブル」が採用されている。

車内には、オルタネーターや点火プラグから発生する強力な電磁ノイズが飛び交っている。2本の線を撚り合わせることで、外来ノイズを同位相として受け、差動増幅器でノイズだけを相殺(キャンセル)し、正確なデジタル波形のみを伝送できる。「撚り」はコストダウンのためではなく、ノイズ耐性を物理的に担保するための構造だ。

撚りのピッチが崩れると何が起きるか

自動車メーカーの修理書では、CAN通信線の補修においてコネクターからのツイストのほつれが10cm以上になると耐ノイズ性が低下し、通信エラーの原因となると明記されている。撚りのピッチが崩れた区間では、ノイズキャンセリング機能が部分的に破綻し、その箇所が通信障害の発生源となる。


ハンダ付け補修が通信障害を引き起こすメカニズム

インピーダンスの局所的変化

CAN通信線にハンダを流し込むと、その部分だけ導線の材質と断面積が変わり、電気抵抗(インピーダンス)が局所的に変化する。さらに、ハンダ付けのために撚り線をほどいた区間が生まれると、ノイズキャンセリング機能がその箇所で破綻する。結果として通信波形に乱れ(リンギングや反射)が生じ、ECUが「通信異常」と判断してシステム全体をシャットダウンさせる。

「症状が出ない」から気づきにくい終端抵抗の損傷

見落としやすい落とし穴として、終端抵抗(ターミネーター)の損傷がある。一端の終端抵抗が破損していても通信は継続されるため、一見して正常に見えるケースがある。しかし実態は耐ノイズ性が著しく低下しており、ダイアグコードが出力されない場合もある。事故修理後に不定期なシステムエラーや誤作動が発生する案件では、終端抵抗を内蔵するECUの点検・交換が必要だ。


メーカー指定の補修セオリーと作業上の絶対条件

原則はアッセンブリー交換(ツイスト線の全引き直し)

自動車メーカーの修理書では、CANバスラインを修正する場合は両端のコネクター間のツイスト線を全て引き直すことが要求される。ハーネスを部分的に修正したり、CAN-LラインまたはCAN-Hラインのみを修正すると、耐ノイズ性が低下し通信エラーの原因となるためだ。

サブバスラインを修理する場合は、メインバスから直接分岐するように修理すること。他の機器へつながるサブバスラインから分岐すると、CAN通信が行われなくなる。

やむを得ず部分補修を行う場合の絶対条件

やむを得ず部分補修を行う場合でも、以下の条件を全て満たすことが必要だ。

条件

内容

接続工具

メーカー指定の圧着用スプライス端子と専用圧着ペンチを使用

撚りのピッチ

元のツイスト線と同じピッチを崩さずに接続

ほつれの長さ

コネクターからのほつれを10cm以内に収める

分岐位置

サブバスラインはメインバスから直接分岐

ハンダ付けによる補修は、いずれの条件も満たせない。これが「ハンダ付け厳禁」の技術的根拠だ。


まとめ

項目

ポイント

ツイストペアの役割

電磁ノイズを差動方式でキャンセルし、正確な波形を伝送する

ハンダ付けが禁止の理由

インピーダンス変化+撚りのほつれによるノイズキャンセリング破綻

補修の原則

両端コネクター間のツイスト線を全引き直し

部分補修の条件

スプライス端子+専用圧着ペンチ+撚りピッチの維持+ほつれ10cm以内

見落としやすいリスク

終端抵抗の損傷はダイアグが出ないまま耐ノイズ性が低下する

現代の車体整備における配線補修は、単なる導通の回復ではない。デジタル信号の高周波特性とノイズ対策を理解した上で遂行される、通信インフラの復旧作業である。