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Automechanika Frankfurt 2026レポート
ADAS調整から塗装ロボットまで 世界の最新自動車整備機器が一堂に会する
2026/09/14
2026年9月8~12日の5日間、ドイツ・フランクフルト国際見本市会場で、Automechanika Frankfurt 2026(アウトメカニカ フランクフルト2026)が開催された。
同展示会は世界各国から自動車アフターマーケットに関する最新の製品・サービスが一堂に会する世界最大級のイベント。同展示会場から注目のツール・サービスを紹介する。
受け入れ点検を自動化する
MAHA・MAIA(MAHA Autonomous Inspection Assistant)
ドイツの自動車検査機器メーカー・MAHAは、ロボットが車両の損傷状況を自動で記録し、車両受け入れ時の標準化と自動化を実現する「MAIA(MAHA Autonomous Inspection Assistant)」を出品した。
入庫時に全周及び下回りの傷・凹み・オイル漏れなどを高画質で自動撮影・保存するため、「預けた後に傷がついた」といったトラブルを客観的データで防止する。また、整備士の経験やスキルに依存せず、誰が対応しても数分で漏れなく車両全体の初期ステータス(タイヤ溝、外傷、ライト類、下回り)を把握できるため、受け入れ検査の効率化と均一化に寄与する。さらに、測定データや下回りの画像を使用して、その場で顧客用レポートを作成することができるため、「タイヤの偏摩耗」や「オイル滲み」などの予防整備を説得力をもって提案することができる。リフトアップすれば、アンダーボデーの状態も記録が可能。
検査場内でADASのテストを完結させる次世代検査システム
MAHA・MAST 2.0(Multi-Axis Simulation Testbed)
「MAST 2.0(Multi-Axis Simulation Testbed)」は、MAHAが参考出品したADAS検査システム。実走行することなく室内で安全かつ超高精度にADAS(先進運転支援システム)のテストやキャリブレーションを行うことができる。
通常は、広いテストコースや公道を実際に走らせる必要がある動的エーミング(走行状態でのカメラ・レーダー調整)を、車両の前にディスプレイを設置し、擬似走行環境を見せることで室内で完結させる。また、フルブレーキ時に発生する急激な慣性力や制動力をローラー側の制御及び固定治具で逃がすため、高速度から急制動をかけても車両が飛び出したり暴れたりせず、安全にAEB等の作動テストが可能となる。ローラー部分が可動して、キャンバーやトー角などのアングルをダイナミックに変調させるなど、ステア操作に追従するため、操舵を伴うLKA等のテストや制御確認にも対応する。
テスト映像では、電波反射を低減させる凹凸がある実験室のような設備で稼働させており、工場での電波の乱反射による精度低下を想定していると見られ、より高い精度が求められるレベル3以上を意識した製品と考えられる。
実道路でのテスト走行リスク(天候・事故・走行場所の確保)をゼロにし、再現性の高いテストを整備工場や検査場内で完結させるための次世代検査システムと言えるだろう。
ホイールアライメント計測とADASキャリブレーションを同時に行う
CORGHI・PROADAS TS DIGITAL シリーズ
イタリアの自動車整備機器ブランドのCORGHI(コルギ)は、ホイールアライメントの計測とADASキャリブレーションを同時に行うCORGHI(コルギ)/PROADAS TS DIGITAL(プロエイダス) シリーズを出品。ホイールに取り付けたターゲット/CCDセンサのデータを共有し、車軸(スラスト角)のリアルタイム位置情報を直接利用してADAS校正パネルの正確な位置合わせを行う。車両前方の大型モニターに各メーカーのターゲットパターンをデジタル表示することができるため、車種ごとにターゲットを変更する必要がない。1回の車両位置決め(フロア調整)で全作業が完結するため、作業時間と整備工場のスペースを大幅に節約できる。
ドイツではADASの整備を行う際、ホイールアライメントを計測することが一般的とのことで、会場内では同製品のようにホイールアライメント計測とADAS校正を同時に行う製品が多く見られた。
2,000Mpa以上の鋼鈑に対応するスポットカッターシステム
ヴィランダーシル・VARIO DRILL WS90/VHM FRASER Z4
ドイツの車体修理工具メーカー・ヴィランダーシルは、2,000Mpa以上の鋼鈑に対応するスポットカッターシステム(エアードリル部:VARIO DRILL WS90/刃物:VHM FRASER Z4)を出品。
超硬合金の4枚刃エンドミルを採用し、側面のC型クランプでアライメントと圧力を保ちながら超高回転でミリング(切削)除去する。ミルとは、通常のドリルと異なり、先端以外に外周部にも刃が付いている形状を意味する。また、4枚刃とは、スクリュー部の外周に4枚の羽根のような刃が付いていることを指す。同社担当者によると、通常のスポットカッターとは異なり、回転させながら切削個所に押し当てて使用し、30~50ヵ所の切削が可能とのこと。
ボカシ塗装やクリヤー肌の調整に対応する塗装ロボット
SATA・jetstream
ドイツの塗装機器メーカー・SATAは、補修塗装用ロボット「jetstream」を展示。
同社担当者によると「現時点の技術でBP工場における全塗装作業の約35%(主に面塗りや標準的なベース・クリア工程)を代替・自動化可能」とのこと。技術者がマスキングや調色、難易度の高い補修作業などを行っている間に、「ロボットに面を塗らせて生産性を上げる」協働(アシスタント)モデルの位置付けだという。
スプレーガン部にはSATA最新の「jet X」自動スプレーガンノズルシステムを採用。Xノズル特有の均一な粒子拡散力により、メタリックのムラを低減し、ロボットの一定速度・距離の移動と組み合わせることで手塗り以上の膜厚安定性を目指している。
車高最大2メートルまでの屋根・天井面に対し、ロボットを設置し直すこと無く、一発で連続塗装が可能な可動域を持つ。設置に必要なブース内寸は全幅4.5m以上で、日本の一般的なブースでは主に横幅が足りないと見られる。
同社担当者は、約20万ユーロ(約3,200万~3,500万円)という高額な初期投資だが、人件費高騰・職人不足の欧米環境において「塗料消費削減」+「作業者の並行作業による工場回転率アップ」により、約3年未満で償却(ROI回収)可能と説明していた。
ボカシ塗装には対応しているとのことだが、メタリックやパールは難しく、ソリッドの黒などの濃色に限られているようだ。クリヤーの肌は調整可能で、凹凸が小さい日本風や大きい欧州風に変えることができるという。また、パネル裏面は部品単位であれば塗装が可能である。
充電式コードレス・スタッド溶接機
TELWIN・BATTERY PULLER
イタリアのツールブランド・TELWIN(テルウィン)は、充電式コードレス・スタッド溶接機「BATTERY PULLER(バッテリープーラー)」を展示。
着脱式の高容量リチウムバッテリーを内蔵しており、電源コードやアース線の引き回しが不要。また、先端の足がアースの役割を果たす「アース一体型(Integrated Earth)」構造のため、アースクランプを車両に接続する必要がない。手動プーラーが一体化されており、レバーを握り込むことで、溶接と同時にその場でピンポイントの引き出し作業が可能である。
整備解説書閲覧システム ALLDATA
米国に本社を持つALLDATAは、整備解説書閲覧システム「ALLDATA」を紹介。内外装の脱着取替工程や、配線図、ボデー寸法、溶接パネルの交換手順までカバーしており、ユーロ圏で扱っているほぼ全てのメーカーを網羅する。
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