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外国人観光客のレンタカー事故、2022年比で約20倍と過去最悪ペース

現場が直面する「構造問題」の深刻さ

  • #ニュース

2026/08/24

 2026年7月、北海道富良野市の国道で正面衝突事故が起きた。香港からの観光客4人が乗ったレンタカーがセンターラインを越えたのが原因とみられ、助手席の女性が死亡した。山梨県では今年5月までに外国人観光客のレンタカー事故が600件超、2022年比で約20倍にのぼる——。これはもはや他人事ではない。


事故件数の急増、数字で見る現状


 まず、現状を数字で直視しておきたい。


 山梨県内における外国人観光客のレンタカー事故は、コロナ禍明けの2023年以降に急増し、2022年からわずか4年で約20倍近くにまで増加している。2026年も5月までの時点で600件を超え、前年を上回るペースで推移中だ(読売テレビ・Yahoo!ニュース報道より)。


 富良野の死亡事故はその象徴的な一例に過ぎない。2025年6月には富士山のふもとでも、センターラインをはみ出してきた乗用車が観光バスと正面衝突し、6人が負傷している。乗用車を運転していたのはパキスタン国籍の男性だった。


 インバウンド消費の恩恵を語る声は多い。だが、その裏側で道路上のリスクが静かに、しかし急速に積み上がっている。

なぜ事故は起きるのか——ドライバーの「困惑」の実態


 現地取材で外国人観光客に話を聞いた記事によれば、韓国からの観光客は「運転席の位置も車線も反対なので、目の錯覚を起こしてしまうのかもしれません」と語っている。イスラエルからの観光客は「最初のうちは少し大変だった。何度も対向車線にはみ出してしまったよ」と話す。


 これは驚くべき証言だ。「はみ出してしまった」と言いながら、運転を続けているのである。


 日本の道路の難しさは左側通行だけではない。中央分離帯のない1車線ずつの道路、複雑な高速道路のジャンクション、狭い生活道路、歩道や自転車道の不整備——これらが組み合わさり、慣れない外国人ドライバーを追い詰める。長野県の妻籠宿では、左折しようとした際に逆車線で停車していた外国人の車に阻まれ、クラクションを鳴らして初めて状況に気づいてもらったという体験談もある(ネットの声より)。

「国際免許」という仕組みの死角


 今回の事故急増の主因として指摘されるのは、いわゆる「外免切替(外国免許の日本免許への切替)」ではない。インバウンド増加に伴い、欧米を中心としたリピーター客が1年間有効の国際免許を使って運転するケースが増えたことが最大の要因とされている。


 ジュネーブ条約の締約国は相互に国際免許を発行でき、日本も条約に参加している。この仕組みのおかげで、日本人が海外でレンタカーを借りることができているのも事実だ。外国人を一方的に責めるのは公平ではない。しかし問題は、左ハンドル・右側通行の国から来た観光客が、日本の道路ルールを改めて体系的に学ぶ機会なく、国際免許1枚で日本の公道に出られる点にある。


 若い頃にアメリカへ留学した際、道路が反対で怖いからと国際免許を使わず現地で免許を取り直したという経験談もある。交通ルールを学び、実際に道路で練習できたことで安全に運転できたという(ネットの声より)。国際免許という制度の「便利さ」と「危うさ」は、表裏一体なのだ。


整備・鈑金現場への影響——増える入庫案件と保険対応の複雑化


 外国人レンタカー事故の多くは、センターオーバーによる正面衝突系だ。フロント部分への重大損傷を伴うケースが増えると予想される。


 ネット上では「日本国で発行された免許を持たない場合、保険料は倍どころか10倍、NOC(ノン・オペレーション・チャージ)も同等の追加料金を取らないと事業として危ない」という指摘もある。また、「上位クラス以外は衝突防止や車線逸脱警報などの安全機能がない古い車種が多く、それが事故を拡大させている」という声もある(ネットの声より)。


求められる対策——現場の声と今後の展望


 ネット上の声を整理すると、求められる対策は大きく三つに集約される。


 一つ目は、レンタカー会社への義務化強化だ。「車を貸す際に日本の運転ルールをしっかり再確認してもらうしかない」というのが現状だが、義務的な確認プロセスの法制化や、フルパッケージ保険の加入必須化を求める声は多い。事故が続く場合にレンタカー会社へ一定の責任が発生する仕組みも必要、という指摘もある。


 二つ目は、保険制度の見直しだ。国際免許ドライバーに対する保険料の引き上げ、NOCの適正化。自動車整備・鈑金事業者にとっても直結する問題だ。


 三つ目は、道路環境の整備だ。外免切替のさらなる厳格化や、日本での免許取得を原則とすべきという強硬論もある一方、多言語対応の道路標識整備など現実的な改善を求める声も根強い。


 どの対策も、実現するまでには時間がかかる。制度がインバウンドの急拡大に追いついていないのが現実であり、それが事故急増の構造的な背景だ。


 外国人観光客のレンタカー事故を、「慣れない左側通行による個人の不注意」と片づけることは簡単だ。しかし、2022年比で約20倍という数字は、個人の問題では説明がつかない。インバウンド急増と、それに追いつかない制度・インフラが生み出した、構造的な問題である。


 自動車業界にとっても、一般ドライバーにとっても、この問題が「遠い話」でなくなる日は、すでに来ている。