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自機工、令和8年度通常総会を開催 新理事長にエムケー精工・丸山社長
激動の自動車産業を生き抜く『5つの重点方針』を発表
2026/05/28
日本自動車機械器具工業会(山田勝己理事長)は5月26日、機械振興会館(東京都港区)で令和8年度通常総会を開催した。
冒頭の挨拶に立った山田理事長は、中東情勢の悪化などを背景に自動車業界全体にとって厳しい状況が続いている現状に触れた上で、「自機工としても、様々な活動を通じて会員の事業活動を支援していく」と述べ、各種取り組みへの協力を呼びかけた。
挨拶する自機工・山田勝己理事長
経産省、原油供給目詰まり解消に向けた情報提供を呼びかけ
続いて、来賓として経済産業省 製造産業局 自動車課の髙木直樹課長補佐(部品・サプライチェーン担当)が登壇し、総会開催への祝辞を述べるとともに、原材料調達を巡る国際情勢の現状と行政の取り組みについて説明した。
中東情勢を踏まえた石油製品の供給に関して、髙木氏は「高市総理の発言にもある通り、原油やナフサについては年を越えて供給を継続できる見込み。シンナー、塗料、塩ビ管などのナフサ由来の化学製品についても、前年実績並み、もしくはそれ以上の供給が維持できる見通しである」と強調した。
一方で、日本全体として必要となる総量は確保できているものの、一部で供給の偏りや流通の目詰まりが発生していることに対して課題認識を提示。関係省庁と連携してサプライチェーンの情報を集約し、原因の特定から個別の調整対応にあたることで、その解消に努めていると説明した。
自機工の会員企業に向けては、供給不安による石油製品の過剰な発注は控え、平時通りの発注水準を維持するよう求めるとともに、その上でなお原料が不足する場合には、経済産業省や関係省庁が設置する相談窓口へ情報提供を行うよう呼びかけた。
経済産業省 製造産業局 自動車課 髙木直樹課長補佐(部品・サプライチェーン担当)
国交省、新たな枠組みを活用した汎用スキャンツール開発に期待感を示す
次いで、国土交通省 物流・自動車局 自動車整備課の多田善隆課長が登壇した。多田氏は、2024年に開始され、2025年には輸入車にも対象が拡大された「OBD検査」が現在トラブルなく運用されていることを報告。検査に不可欠なスキャンツールの適切な供給準備に努めた自機工メンバーへ謝辞を述べた。
また、スキャンツールの導入支援策を令和8年度も継続する方針を示し、その第1弾として「補助率2分の1、事業場当たりの上限50万円」とする補助金の申請受付を5月29日より開始することを紹介した。
さらに多田氏は、自動車の高度化が進む中で「ユーザーがいつでも、どこでも車検整備を受けられる環境を整えることが最重要課題である」との認識を示し、その実現には高性能な汎用スキャンツールの存在が重要であると強調。現在、自動車技術総合機構がスキャンツールに必要な情報を自動車メーカーから一元的に購入する、新たな枠組みに向けた議論を進めていることに言及した上で、「この枠組みが成立した暁には、ぜひ皆様にご活用いただき、高性能な汎用スキャンツールの開発をお願いしたい」と、自機工会員へ自動車の安全確保に向けた継続的な協力を要請した。
国土交通省 物流・自動車局 自動車整備課 多田善隆課長
新理事長にエムケー精工・丸山将一社長が就任
総会では、2025年度の事業報告及び収支決算、2026年度事業計画及び収支予算を審議し、いずれも可決承認された。任期満了に伴う役員の選任では、新たに田崎克弥氏(アルティア 取締役)、伊吹和彦氏(京都機械工具 社長)、北川仁氏(光明理化学工業 取締役)、坂本正紀氏(三栄工業 社長)、江藤俊浩氏(日本自動車機械器具工業会)が役員に就任。そして総会後に開催された新理事による臨時理事会を経て、理事長に丸山将一氏(エムケー精工 社長)、副理事長に三木健太郎氏(三協リール 社長)、山田昌太郎氏(ヤマダコーポレーション 社長)、専務理事に江藤俊浩氏がそれぞれ就任した。
丸山新理事長が示す、持続可能な未来を築くための「5つの重点的な柱」
総会後の懇親会で挨拶に立った丸山新理事長は、山田前理事長をはじめとする諸先輩方の功績に敬意を表すとともに、激動の時代を迎える自動車産業において持続可能な未来を築くための次の「5つの重点的な柱」を提示した。
・サプライチェーンの強靭化と地政学リスクへの対応
緊迫する中東情勢を受けたホルムズ海峡封鎖のリスクに言及。エネルギー価格の高騰や部品供給不足に備え、政府や関係機関と連携した情報収集を行い、業界全体での対策を講じる。
・情報セキュリティ対策の徹底
製造業を狙うサイバー脅威の巧妙化に対し「一社の脆弱性が業界全体に波及する」との危機感を示した。サプライチェーン全体のセキュリティ水準を底上げするため、ガイドラインの策定や導入支援、診断体制の強化を推進する。
・自動車を取り巻く構造変化への積極的な適応
CASEに代表される技術革新やカーボンニュートラルの実現に向けた電動化の潮流を次なる成長の好機と捉え、次世代モビリティに対応した最先端の機械器具の開発支援や、規格標準化への対応を加速させる。
・人材確保と労働環境の抜本的改善
深刻化する人手不足対策として、デジタル技術を活用した省力化や自動化を後押しする。また、DE&I(多様性、公平性、包摂性)の視点を取り入れた環境整備や、適切な価格転嫁を通じた待遇改善を進め、多様な人材から選ばれる業界づくりを目指す。
・コンプライアンスの徹底
製造業における品質不正などが社会問題化する中、持続可能な経営の根幹として高い企業倫理に基づいた事業活動の重要性を強調。セミナーや勉強会を通じて、会員各社のガバナンス再点検と健全な企業風土の醸成を支援する。
丸山新理事長は、これらの課題がいずれも一社単独では解決困難であることを指摘した上で、「会員の声を真摯に聞き、現場の課題に寄り添いながら、スピード感を持って変革を進める」と語り、難局を乗り切るための連携強化を訴えた。
丸山将一新理事長
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