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備蓄対象外「ナフサ」問題、2026年中東危機による課題と対策

経済産業省が7月24日に公表した最新資料から見えてきた全貌と、国の対策などについて解説

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2026/07/25

 春の中東情勢緊迫化は、日本のエネルギー供給に大きな波紋を広げた。ガソリンや軽油の供給は国家備蓄の放出により維持される一方で、自動車整備・鈑金塗装業界には「塗料・シンナーの流通目詰まり」と「原価高騰」という深刻なダメージが残っていた。
 経済産業省が7月24日に公表した「第1回 総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 資源開発・燃料供給小委員会 石油等の供給構造の強靱化ワーキンググループ」の資料から見えた課題の全貌と、国の対策、現場が取るべき行動について解説。


参考資料:経済産業省、資料5「石油等の供給構造の強靭化に向けて」


ナフサ備蓄対象外
ガソリンは守られたが、塗料は守られなかったのか

 事態発生直後から、国は約50日分の国家備蓄などを放出。これにより、ガソリンや軽油などの燃料油の国内向け販売量は、前年同月比とほぼ同水準(約98〜99%)を維持することができた。地域によってはガソリン価格に10~20円近くの差(1リットルあたり)が見受けられた。

 しかし、鈑金塗装に不可欠なシンナーや塗料の主原料となるナフサは、これまでの法律では石油備蓄の対象外であった。その結果、備蓄によるクッションが効かずナフサ関連製品の供給に偏りや流通の目詰まりが発生した。これにより現場は「必要な時に入ってこない」、「仕入れ価格が跳ね上がる」といった状況に直面した。

 資料では、「石油備蓄対象とされていないナフサの供給不安から、シンナー・塗料をはじめとするナフサ関連製品について供給の偏りや流通の目詰まりが生じるといった課題も見受けられた」とされている。


直撃する原価高騰
原油の輸入単価は前年比最大67%アップ

 資料によれば、船舶のホルムズ海峡通航が事実上困難になった結果、2026年4月と5月の日本の原油輸入量は前年同月比で約60%減少。代替ルートでのスポット調達を余儀なくされたため、原油輸入単価は異常な高騰を記録したとしている。

2026年

原油輸入量(前年同月比)

原油輸入単価(前年同月比)

4月

▲ 63.7%

+ 37.9%

5月

▲ 57.2%

+ 67.1%


 この急激なコスト増は、シンナーや塗料の価格高騰に直結するだけでなく、エンジンオイルやブレーキフルード、プラスチック・ゴム製品など、工場に必要な油脂類・部品の仕入れ価格上昇(原価圧迫)の要因となっている。


国が動き出した石油備蓄ルールの見直しと
サプライチェーン強靱化

 この状況を受け、経済産業省(資源エネルギー庁)は新たに「石油等の供給構造の強靱化ワーキング・グループ」を立ち上げた。今後は、ガソリンや重油だけでなく「ナフサを含めた備蓄対象・備蓄目標の見直し」を進める方針が明言されている。

 これにより、長期的には工場で使用される溶剤や塗料関連製品の供給網が強化され、有事の際のリスクが低減される見通しである。しかし、具体的な制度化や備蓄拠点の整備にはまだ時間を要するため、しばらくは民間企業ベースでのリスク管理が不可欠としている。




 2026年の中東情勢が浮き彫りにした「ナフサ備蓄対象外」という弱点。資料では、

塗料や油脂類の高騰分を自社努力だけで吸収するには限界がある。2026年に入り活発化している「レバーレートの引き上げ」の動きに乗り遅れないよう、顧客や保険会社に対して適正な価格転嫁と根拠のある説明を行う必要がある。

・ 特定の塗料メーカーや商社だけに依存せず、調達ルートを複数確保しておくことが重要である。また、シンナー使用量の削減や環境対応も兼ねた「水性塗料へのシフト」を加速させる機会とも言える。

などと言及されていた。正確な情報収集力と適正な価格交渉力がこれまで以上に事業継続の肝になるだろう。