JOURNAL 

【自治体担当者・医療機器の使用者向け】EVが命を守る非常用電源に!電動車から給電マニュアルの改定ポイント

  • #ニュース

2026/08/08

 8月4日、国土交通省及び経済産業省は「災害時における電動車から医療機器への給電活用マニュアル」の改定版を公表した。最大の特徴は、これまで控えるよう明記されていた電動車から医療機器への給電について、実証実験の知見を踏まえ、安全に活用するための注意事項を新たに整理した点。改定マニュアルの概要や背景、対象機器と給電方法などを順に整理した。


概要と背景

 同マニュアルは、外部給電機能を備えた電動車を災害時の移動式非常用電源として活用するためのガイドライン。自動車分野のカーボンニュートラルに向けて普及が進む電動車の給電機能を、停電時などのバックアップ電源として安全に利用する方法をまとめている。

 2020年7月に公表された旧マニュアルでは、電動車からの給電は車両状態によって一時的に出力が断たれることがあるため、医療機器への使用は控えるよう明記されていた。しかし、昨今の災害時に避難所や自宅等で医療機器に対して電動車からの給電が想定されるケースが頻発。

 これを受け、国土交通省の調査において、停電時に給電需要が高いと考えられる医療機器に関する接続試験を実施し、その結果を基に安全に給電するための注意事項が整理された。

 改定版では「電動車から医療機器への給電に係るコンソーシアム」の協力にて作成。カーメーカー、外部給電器メーカー、医療機器メーカー、在宅医療関連事業者、研究機関による実証体制を構築し反映した。
 主に自治体担当者や医療機器の使用者向けに作成されており、他に安定した電源が確保できない場合の選択肢として提示されている。


対象機器と給電方法

 対象車は、EV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド自動車)、FCV(燃料電池自動車)、HEV(ハイブリッド自動車)の4種類。

 給電方法は大きく分けて3パターン。1つ目は、車内に備えられた100V電源用コンセント(最大出力1.5kW)からの直接給電。2つ目は、車の充電端子(CHAdeMO)に特定の外部給電器を接続する方法。3つ目は、EVバイク等の交換式バッテリーを取り外し、専用給電器を介して給電する方法。

 対象の主な医療機器は、人工呼吸器、酸素濃縮器、吸引器の3種類。


利用条件

 使用する医療機器や同時に接続する電気製品の消費電力は、合わせてAC100Vで1500W以内に収める必要がある。定格消費電力が1500W以下であっても、起動時などで一時的に大きな電流が流れ、正常に作動しない恐れがある点に留意したい。

 特に、設定流量が大きい酸素濃縮器などは運転が停止する可能性があるため、事前の稼働確認が必須。また電動車や外部給電器からの給電機能は、電力会社が供給する商用電源と完全に同じではなく、同様の安全・性能が保証されるわけではない。

 そのため、給電を行う際には必ず医師や医療関係者と相談の上で使用することが求められる。車両の安全確保の観点からは、シフトをPポジションにしてパーキングブレーキを作動させ、平らな場所での輪留め設置を推奨している。

HEVやPHEVで車室内コンセントから給電を行う場合はエンジンが作動することがあるため、換気の悪い場所での使用は厳禁。たこ足配線の禁止や、屋外での雨水侵入防止など、基本的な電気製品の取り扱いルールを遵守することも明記されている。