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企業の44.9%が「働き控え」を懸念~社会保険の適用拡大、TSR調査では「未対応」も半数という結果に~
2026/10/20
10月19日、東京商工リサーチ(TSR)は「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査の結果を公表。10月から非正規従業員への社会保険の適用が拡大された制度改正を受け、4割以上(44.9%)の企業が、従業員による勤務時間の調整を指摘する結果となった。なお、同調査は2026年10月1~8日の期間インターネットで実施し有効回答は625社。資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義している。
月収8万8,000円以上の賃金要件を撤廃
10月1日から「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃された。給与額に関わらず、条件を満たす社員は新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。対象者にとって利点は次の通り。
・将来受け取る年金額の増加
・傷病手当金や出産手当金など、利用できる社会保障の範囲拡大
一方、新たな保険料負担が発生するため、短期的には手取りが減少することも想定される。配偶者の扶養の範囲内で働く従業員を中心に、制度変更を負担増と受け止める声も根強い。
新たな適用対象の割合
中小企業が5.7ポイント上回る
9月時点で社会保険の適用対象外だった非正規従業員へ、10月以降に新たに適用対象となった割合を尋ねた。回答は5%ごと(50%以上は10%ごと)で分析している。
割合のピークは「5%未満」の20.1%、次いで「90%以上」が15.2%だった。平均値は中小企業が34.6%、大企業が28.9%。中小企業が5.7ポイント上回り、制度改正の影響を受ける非正規従業員の割合が高い傾向が見られた。
新たな適用対象者が増えれば、企業負担となる社会保険料の増加が収益面へ影響を及ぼす可能性もある。

勤務時間の調整で
対象外に留まる従業員は「いる」が44.9%
制度改正後も、勤務時間の調整などで社会保険の適用対象外に留まりそうな従業員の有無を尋ねている。対象はQ1で「1%以上」と回答した企業583社。
・「いる」:44.9%(262社)
・「いない」:55.0%(321社)
4割以上の企業で、就業時間を抑制する実態が見えてきた。規模別では「いる」と回答した企業は中小企業が46.3%(524社中、243社)、大企業が32.2%(59社中、19社)。中小企業が14.1ポイント上回った。
この結果から、中小企業では扶養内労働を希望する非正規従業員への依存度が高いことを示している。社会保険料の企業負担分の増加により、次年度以降の賃上げ原資にも影響が生じるだろう。こうした思惑により、目先の手取り減少を回避する従業員の「働き控え」が出てきそうだ。

制度改正への対応
「何もしていない」が50.0%
制度改正までに実施した対応を複数回答で尋ねた。対象は社会保険適用の対象外が「1%以上」と回答した企業588社。
・「何もしていない」:50.0%(294社)
・「個別面談の実施」:31.4%(185社)
・「対象者の一部または全部と雇用契約を結びなおした」:12.2%(72社)
最も多い回答は「何もしていない」となり、半数に及んだ。何らかの対応を実施した企業では「個別面談の実施」が最も多かった。
社会保険の加入は、従業員だけでなく企業にも保険料負担が発生する。事前に対象者と面談し、制度説明や労働条件の見直しなど労務管理上の対応を進めた企業がある一方、具体的な対応を講じていない企業が半数に達した。社内整備や準備には、企業間や業種間で差が見られる。

社会保険適用の拡大では、従業員の将来的な保障充実や雇用の安定化が期待されている。ただし、企業が負担する社会保険料や事務手続きの増加は避けられない。特に中小・零細企業は、コスト上昇に対応しながら人員補充と従業員の理解を共に意識しながら促すことが重要になっている。
引用元:
東京商工リサーチ TSR速報
東京商工リサーチ「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数(2026年10月19日)
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