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トヨタ・プリウス(W6#系)車販のポイントは?【売りたい車図鑑】

KINTO専用「U」は購入後の装備追加が可能な「KINTO Unlimited」に対応。競合車種はホンダ・シビックe:HEVのみ

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2024/12/27

【車販のポイント】

 グレードはプラグインハイブリッド車(PHEV)が上から「Z」と「G」の2種類、ハイブリッド車(HEV)が同じく「Z」「G」「U」「X」の4種類で、このうち「U」はサブスクリプションサービス「KINTO」専用、「X」は法人向けとなっている。

 HEVはFF(前輪駆動)と、モーターで後輪を駆動する4WD車「E-Four」から選べるものの、PHEVはFFのみ。

<グレード一覧>
《PHEV 2.0L》
Z(FF)…460万円
G(FF)…390万円

《HEV 2.0L》
Z(FF/4WD)…370万円/392万円
G(FF/4WD)…320万円/342万円

《HEV 1.8L》
U(FF/4WD)…月額1万8480円~ *KINTO専用
Z(FF/4WD)…275万円/297万円 *法人向け

プリウス「U」に設定される「KINTO Unlimited」によるブラインドスポットモニター用ミリ波レーダー後付けイメージ

 ただし、PHEVの「Z」が事実上、HEVの「Z」よりも上位の最上級グレードに位置付けられており、ヘッドランプのオートレベリング機構、アダプティブハイビームシステム[AHS]、はPHEVの「Z」のみ標準装備で、HEVには設定なし。「ソーラー充電システム」はPHEVの「Z」のみメーカーオプションで、HEVには設定なし。

 12.3インチディスプレイを搭載する「ディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)Plus」はPHEV「Z」のみ標準装備で、HEV「Z」はメーカーオプション。「Plus」ではない「ディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)」がHEV「Z」と「G」系、「U」に標準装備され、「X」はメーカーオプション。さらにこの中でもディスプレイサイズが異なり、HEV「Z」は12.3インチ、「G」系と「U」「X」は8インチのみ設定されている。

HEV「G」上級ファブリック・マチュアレッド内装の運転席まわり。写真はメーカーオプションの12.3インチディスプレイオーディオを装着

 ETC2.0ユニット(VICS機能付き)もPHEV「Z」のみ光ビーコンユニット付きとなる(他グレードは光ビーコンなしがHEV「Z」に標準装備、他はメーカーオプション)。

 装備内容はグレードによって非常に細かく差別化されているため、当記事では内装の要点のみ紹介する。外装については「BPのポイント」、パワートレインおよびタイヤ&ホイールとADAS(先進運転支援システム)については「整備のポイント」をご参照いただきたい。

トヨタ・プリウス「BPのポイント」;
https://bsrweb.jp/news/detail.php?id=002209

トヨタ・プリウス「整備のポイント」:
https://bsrweb.jp/news/detail.php?id=002210

HEV「U」の運転席まわり。8インチディスプレイオーディオを装着する

 内装色はいずれもブラックを基調としており、シート表皮は合成皮革(グラディエントブラック内装)を「Z」系に標準装備。上級ファブリック(グラディエントブラック内装)を「G」系に標準装備し「U」にメーカーオプション。ファブリック(アクティブグレー内装)は「U」と「X」に標準装備する。なお合成皮革では、赤をアクセント色としたマチュアレッド内装も選択可能だ。

 シートの機構に関しては、サイドサポートが大きい前席「スポーティ」シートを「Z」系と「G」系に標準装備し、「U」にメーカーオプション設定。「U」と「X」は通常の「エントリー」シートを標準装備する。

 また「Z」系は、運転席8ウェイ&助手席4ウェイパワーシートと運転席シートポジションメモリー+オートスライドアウェイ+電動ランバーサポートが標準装備。他のグレードは運転席6ウェイ&助手席4ウェイのマニュアル式だ。

 運転席の一部に静電気除去機能付き表皮を採用した「除電スタビライジングプラスシート」と前席シートヒーターが、「Z」系と「G」系に標準装備で、「U」はメーカーオプション、「X」は設定なし。前席シートベンチレーションは「Z」系にのみ標準装備で、他には設定されない。

HEV「G」上級ファブリック・マチュアレッド内装。前席はスポーティタイプ

 オススメグレードは、やや価格は高くなるものの、予防安全装備や運転席まわりの快適装備が充実する「Z」系、あるいはオプション設定が豊富な「U」。通勤や買い物など近距離での街乗りが多ければPHEV、雪道を走る機会が多ければHEVの4WD車「E-Four」を選べば、より快適に走れるだろう。

 またKINTO専用の「U」は、購入後にソフトウェアのみならずハードウェアのアップデートが可能な「KINTO Unlimited」に対応している。先進的なサービスを体験したいアーリーアダプターや、代替頻度の高いカーオーナーに勧めたい。

 直接の競合車種はホンダ・シビックe:HEVのみ。荷室を含めた室内の広さや使い勝手、運転のしやすさ、乗り心地と操縦安定性とのバランス、内外装の質感など、多くの点でプリウスに勝る。だが価格が高く(399万8500~430万7600円)、またPHEVも4WD車もない。一方でプリウスには、非常にスタイリッシュなデザインがある。こうしたシビックにはなくプリウスにはあるポイントを積極的に訴求し、受注につなげたい。

 ただしプリウスは、一般的な5ドアハッチバックセダンというよりは5ドアクーペと表現するのがより正確なパッケージングの持ち主で、デザインのために居住性や操作性、視界、運転のしやすさが少なからず犠牲になっている。またシフトレバーなどの操作方法が独特で、ストレート式のATシフトレバーに長年慣れ親しんだドライバーには馴染みにくい。そのため、スポーツカーやスペシャリティカーを販売する心構えで商談に臨みたい。そして受注前に、念入りに試乗していただくことを強く推奨する。


(文=遠藤正賢 写真=トヨタ自動車)

HEV「IU」ファブリック・アクティブグレー内装。前席はエントリータイプ