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OBD検査に必要な準備、BEVの構造と車検整備を分かりやすく解説【IAAE2024:あいおいニッセイ同和自動車研究所】
「OBD検査ポータル」登録の流れを具体的に説明。三菱eKクロスEVと日産サクラの相違点も細部にわたり紹介
2024/04/25
2024年3月5~7日に東京ビッグサイトで開催された、自動車アフターマーケット総合展示会「国際オートアフターマーケットEXPO(IAAE)2024」。
セミナープログラム「OBD検査への準備と検査および電動車の車検整備について」には、あいおいニッセイ同和自動車研究所(以下、AD自研)研修部技監の小島一郎氏が登壇。「OBD検査ポータル」への登録方法を中心に、OBD検査を実施するにあたり必要な準備について解説するとともに、三菱eKクロスEVの実車を用いたBEVの構造と車検整備時の注意点について説明した。
あいおいニッセイ同和自動車研究所の小島一郎氏(左)と三菱eKクロスEV
OBD検査の準備については、検索エンジンで「OBD検査」と入力し、現れた候補の中から「OBD検査ポータル」を選択、同サイトへアクセスし「整備事業者の方」ページから「初めての方へ」ページへ入ると、「OBD検査システムの概要と利用の流れ」が記載されており、その下には「システム利用申請・インストール」)への入口も設けられている。
小島技監は、その後の利用登録や「特定DTC照会アプリ」のインストール方法などを、動画を交えながら詳しく解説。「パソコンに慣れている方であればさほど難しくないのかもしれないが、慣れていない方は大変だと聞いている。登録受付はもうスタートしているので、早めに確認し登録までしてほしい」と呼びかけた。
「特定DTC照会アプリ」インストールの全体の流れ
また、OBD検査の実施にあたって必要となる「検査用スキャンツール」についても解説。「検査用スキャンツールは大きく二種類に分かれており、整備用ソフトが入っておらず価格が抑えられているOBD検査専用の検査用スキャンツールと、整備用ソフトが入っておりその分高価な『整備用スキャンツール』兼用の検査用スキャンツールがある。ただし、現在使用しているスキャンツールにソフトや機器を追加することで、そのままOBD検査に対応できるものもあるので、車検の入庫台数や工場内での活用法などを考慮して購入することになる」とアドバイスしている。
「整備用スキャンツール」兼用「検査用スキャンツール」のリスト(一部抜粋)
続いて、三菱eKクロスEVの実車を使用し、BEVの構造についてモーターの基本的な仕組みから分かりやすく解説。また車検整備時の注意点に関し、ガソリン車であるeKクロスや、eKクロスEVの姉妹車である日産サクラとの違いについても細部にわたり説明した。
検査員が実施する同一性の確認について、eKクロスではエンジンおよび、駆動用モーターを兼ねたジェネレーター、それぞれに打刻されている型式を確認する必要があるが、eKクロスEVでは原動機が駆動用モーターのみとなるため、モーターに打刻されている型式を確認しなければならない。なお車台番号の打刻位置も異なり、eKクロスでは運転席下、eKクロスEVではラゲッジルーム左側となる。
ラゲッジルーム左側に打刻されている三菱eKクロスEVの車台番号
また、三菱eKクロスEVと日産サクラとでは、駆動用バッテリーの容量保証期間はいずれも8年または16万kmのいずれか早い方で、eKクロスEVはのバッテリー容量計のディスプレイ表示が66%、サクラは同じく12セグメント中8セグメントを下回った場合と、実質的な内容は変わらないものの、ディスプレイ表示の方法が両者で異なる。なお、スキャンツールのデータモニターを用いれば詳細なSOH(バッテリー健全度)を確認できるため、その点検方法も実演している。
そのほか、重要保安部品の特別保証期間が、eKクロスEVは8年または16万km、サクラは5年または10万kmと異なることにも言及。さらに、EPB(電動パーキングブレーキ)の構造についても説明し、後輪に付着した雪が走行中にアクチュエーターを損傷させるのを防ぐため、雪を削ぎ落とすアイススクレーパーが前方に取り付けられていることにも触れている。
最後にはeKクロスEVのOBD点検と、またメーカー指定の点検項目となる充電装置の点検を実演。「メーター上での警告灯確認は、消灯するタイミングが全部一緒ではないため、メーカーが設定している正しい点灯・消灯を確認するのは困難。確実に診断するにはスキャンツールの全自己診断を使用するのが望ましい」などといった注意点を指南していた。
(文・写真=遠藤正賢/図=あいおいニッセイ同和自動車研究所)
三菱eKクロスEVと日産サクラのバッテリー容量計表示の違い
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