JOURNAL　

シネマエンドレス「哀れなるものたち」

映画史上最も大胆で、空前絶後の冒険を描いたアカデミー賞大本命作！

  • #その他

2024/03/05

あらすじ

　自ら命を絶った若き女性ベラは天才外科医であるゴッドウィンの手によって、身体は大人だが精神は生まれたての女性として蘇った。ゴッドウィンの手厚い保護と観察の下で育つベラだが、「世界を自分の目で見たい」と未知なる世界を知るため、放蕩者の弁護士と大陸横断の冒険に出る。旅の最中であらゆる初めての経験に歓喜するベラ。やがて、アレクサンドリアで目撃したある事実が人生を大きく変えることになる。時代の偏見から解き放たれ、平等と解放を知ったベラは驚くべき成長を遂げることになる。
　「ロブスター」、「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」などを撮った鬼才ヨルゴス・ランティモス監督と、「ラ・ラ・ランド」、「クルエラ」など話題作に出演するエマ・ストーンが「女王陛下のお気に入り」以来のタッグを組み、第80回ベネチア国際映画祭で最高賞である金獅子賞を受賞した未体験の驚きで世界を満たす最新作。

筆者の推しどころ

　タイトルに強いシンパシーを感じてしまう生活から脱却したい筆者のような哀れなるものたちにこそ観てもらいたい傑作。エマ・ストーンのおっぱい、お尻、激しい熱烈ジャンプに目を奪われてしまっては哀れから脱却できないぞ。羞恥心やトラウマを持たないベラが、男たちの欲望と制約だらけの世界で食事も、性も、ダンスも、知性も自由奔放に学び、成長していく姿は、日々をその日の制約と欲に縛られて生きる人間にとってあまりにもまぶし過ぎるだろう。筆者は残酷でメルヘンチックでエロティックな「アルジャーノンに花束を」をイメージしてしまった。天才外科医役は筆者が大好きで本コーナーでもたびたび名前が挙がる名優、ウィレム・デフォー。
　すべてを歩き回るのに30分はかかる巨大で壮麗なセット、感情を際立たせるピントの当て方と特殊なカメラ、何かを予感させる音楽など、ランティモス監督らしさを極限まで研ぎ澄まさせたいきなりの2024年ベスト候補の一作。

監督：ヨルゴス・ランティモス
ウォルト・ディズニー・ジャパン配給
公開中

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