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車両の電動化でブレーキは小型軽量化、ドラム式に先祖返り。さらにはフルード交換が不要になる!?【人とくるまのテクノロジー展2022横浜:コンチネンタル・オートモーティブ】
PM10規制施行やさらなる環境規制を見据えてブレーキダスト発生量削減や油圧経路削減を提案
2022/07/25
2022年5月25~27日にパシフィコ横浜で開催された自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展2022横浜」(主催:自動車技術会)で、コンチネンタル・オートモーティブは電動化や自動運転に関連する様々な部品・システムを出品した。
その中で、電動車向けのブレーキとして今回提案された「グリーンキャリパー」は、高出力・トルクのモーターを搭載し回生協調ブレーキを実装するなど、制動時における回生ブレーキへの依存度が高い、裏を返せば油圧ブレーキへの依存度が低い電動車の実態に合わせた、フロントブレーキのユニットだ。
ローターをベンチレーテッド式からソリッドとし厚みを減らす一方で、外径を拡大することで必要な制動力を確保。そしてキャリパーはボデー・ピストンとも小型化し、パッドも小型化することにより、ブレーキダストの発生量を減らしつつ、Cセグメントクラスの車両で約5kgの軽量化が可能と同社では見込んでいる。
その発展系としてコンチネンタルは、四輪ともドラムブレーキ化したシステムも提案。ローターが常に露出するディスク式に対して錆びにくく、ブレーキダストは走行中に飛散せず、分解整備時に吸引することが可能なため、今後欧州などで実施される見込みのPM10規制に対応可能なソリューションと位置付けている。
四輪ドラムブレーキ車のイメージ図
また、ブレーキ・バイ・ワイヤを用いた将来のブレーキシステム「FBS」のロードマップを提示している。
「FBS1」は既存のブレーキ・バイ・ワイヤ(「FBS0」)の進化形で、より軽量コンパクトかつ冗長性があり、機械式ペダルと電子ペダルの双方に対応するものだが、「FBS2」ではリヤブレーキを電動機械式とし油圧システムを廃止。
「FBS1」のイメージ図
「FBS2」リヤブレーキのイメージ図
「FBS3」ではさらにフロントブレーキも電動機械式となり油圧システムが完全に排除されるため、ブレーキフルードの使用・交換(=廃棄)が不要となる。
回生協調ブレーキを備えたストリングハイブリッド車やPHV、BEV、FCVでは、油圧ブレーキのみに頼る車両に対し、ブレーキパッド・ローターの交換頻度が大幅に低いことは、多くの読者がご存じの通り。
さらに、使用頻度を問わず湿気の吸収によって劣化するブレーキフルードの交換が不要になれば、走行距離や使用年数の長い車両でない限り、ブレーキが事実上メンテナンスフリーとなる。
カーオーナーにとっては嬉しい限りだが、整備・修理工場は貴重な収益源がまた一つ減ることを覚悟しなければならないだろう。
(文・写真=遠藤正賢 図=コンチネンタル・オートモーティブ)
「FBS3」フロントブレーキのイメージ図
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