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<小説>鼓動 もう一つのスクープ(第19話)
2022/04/15
BSRweb小説企画第一弾
業界記者の視点で描く、自動車業界を題材にしたオリジナル小説。
(第1話へのリンク)
※この小説はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
第19話 記者稼業には光と影が付きまとう
今回の造反劇の醜い人間関係の事実を知ったことを契機に、これまで永年関わってきた自動車業界の記者生活を振り返ることにした。
その前に世話になった人たちに挨拶することが先決と考え、まず多くのネタを提供してくれたカーアナリストの田中正造に連絡、新橋のカフェで会うことに。
「これ岩崎自動車の“マル秘”資料の謝礼、遅くなってすまん。貴方の情報交換はこれでお開きにしたい」と、丁寧に辞する言葉を述べる北沢。
後日、最後に田村正勝と毎日自動車新聞を辞めた黒川透が長野の実家から上京、新橋の久助で久し振りの交遊を温めた。
「何、急に改まってどうしたの北沢。心なしかいつもの元気がない」と存廃気味に声をかける黒川。
「記者生活30年以上やってきたので、この辺で一区切りつけようと思う」と心情を吐露する。「光の当たる所だけ見るのではなく、陰の部分もじっくり見なければ」という信念を持って記事を書いてきたが、静かな場所で新たな答えを見つけたいと珍しく真顔で語る北沢。
すると、田村が「高校野球にも華々しい硬式野球全国大会の裏に、もう一つの軟式野球の全国大会があるようなものだ」と光がまぶしく当たる野球もあれば、地味な野球も存在していると含蓄ある言葉を北沢に贈るかのように静かに語る。
「なるほど、我々のやっている業界の記者には一定の役割があるよな」とうなずく北沢は「でも一旦、筆を置いて考える」と言うと、飲み代を清算して真夜中の闇に消えた。
<筆者紹介>
中野駒
法政大学卒 自動車業界紙記者を経て、自動車流通専門のフリー記者兼アナリスト。業界歴併せて40年。
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