JOURNAL 

    シネマエンドレス「プチ・ニコラ パリがくれた幸せ 」

    小さなアトリエから生まれた、大きな物語

    • #その他

    2023/05/30

    あらすじ

     パリの街並みを望む小さなアトリエ。イラストレーターのサンペと作家のゴシニは、いたずら好きの男の子のキャラクター、ニコラに命を吹き込んでいた。

    大好きなママのおやつ、校庭での仲間達との喧嘩、先生お手上げの臨海学校の大騒ぎ……。

    ニコラを描きながら、望んでも得られなかった幸せな子供時代を追体験していくサンペ。
    また、ある悲劇を胸に秘めるゴシニは、物語に最高の楽しさを与えていった。

    児童書「プチ・ニコラ」の心躍らせる世界を創造しながら、激動の人生を思う二人。ニコラの存在は、そんな彼らの友情を永遠のものにしていく……。

     フランスで50年以上愛され続け、世界30カ国で翻訳されている児童書「プチ・ニコラ」。その誕生秘話にして、原作者たちの喪失と創造の人生に「プチ・ニコラ」の物語を交えて描く、子供時代へのノスタルジーと創作の喜びに満ちた物語が誕生。

    © 2022 Onyx Films – Bidibul Productions – Rectangle Productions – Chapter 2

    筆者の推しどころ

     日本で言えば「サザエさん」、児童書で言えば「ノンタン」が近いだろうか。

    そんな長年に渡り世界中の多くの人に愛されてきた「プチ・ニコラ」はどのように誕生したのか。
    原作者のゴニシとイラストレーターであるサンペはお互いが夢を失い、再び夢を抱き、クリエイターとしての不遇の時期を経てきた。
    人生の苦難を知るがゆえに、自分たちが理想とする幸せな子供の世界を創造していく様子は、観る人のクリエイター心をくすぐることだろう。

     二人の物語とニコラの物語が巧みにクロスオーバーする本作は、「プチ・ニコラ」初のアニメーション作品であり、水彩画のような美しい映像からも監督やスタッフのニコラへの愛とリスペクトを存分に感じられる。

     将来に希望を見出せない暗澹たる世界に生きる人にとってニコラは優しさを、2人のクリエイターは希望を与えてくれるだろう。

    鑑賞後、筆者はゴニシに倣ってパンチパーマにしようかと真剣に考えたほどである。

    © 2022 Onyx Films – Bidibul Productions – Rectangle Productions – Chapter 2

    監督:アマンディーヌ・フルドン、バンジャマン・マスブル
    オープンセサミ、フルモテルモ配給

    6月9日(金)より新宿武蔵野館、ユーロスペースほか全国順次公開

    https://petit-nicolas.jp/

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