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    ホンダ・シビック(FL1・4・5)車販のポイントは?【売りたい車図鑑】

    操る喜びと上質な内外装は全車共通だが「タイプR」は特に地域とカーオーナーを選ぶ。ライバルはVWゴルフなど多数

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    2023/05/08

    【車販のポイント】
     グレードは標準モデルが「LX」と「EX」の2種類で、「e:HEV」と「タイプR」はモノグレード。

    「LX」と「EX」の差は非常に大きく、主に以下の点が異なる。


    <「LX」に設定なし、「EX」に標準装備>
    ・アダプティブドライビングビーム
    ・LEDフォグライト
    ・LEDアクティブコーナリングライト
    ・運転席8way&助手席4wayパワーシート
    ・リアベンチレーション
    ・ワイヤレス充電器
    ・ドアライニングセンターパッド(プライムスムース)
    ・パワーウィンドウスイッチパネル(ヘリンボーンブラック)
    ・シルバー加飾メーターバイザー
    ・LEDアンビエントランプ(フロントドアライニング/フット(レッド))


    <「LX」と「EX」とで仕様が異なる装備>
    《デジタルグラフィックメーター》
    LX:7インチ
    EX:10.2インチ

    《オーディオ》
    LX:8スピーカー(4スピーカー+4ツィーター)
    EX:BOSEプレミアムサウンドシステム(12スピーカー)

    《左右独立温度コントロール式フルオートエアコンディショナー》
    LX:プラズマクラスター技術なし
    EX:プラズマクラスター技術搭載

    《コンビシート》
    LX:ブラック(プライムスムース×ファブリック)
    EX:ブラック×レッド(プライムスムース×ウルトラスエード)
    *フロントは肩まわりの形状も異なる

    《本革巻きステアリングホイール(スムースレザー)》
    LX:--
    EX:レッドステッチ入り

    《本革巻きシフトレバー(6速MT車)》
    LX:--
    EX:アルミ製・レッドステッチ入り

    《本革巻きセレクトレバー(CVT車)》
    LX:--
    EX:レッドステッチ入り

    《防眩ルームミラー》
    LX:--
    EX:自動防眩

    《ドアモールディング》
    LX:シルバー
    EX:ブラック

    《18インチアルミホイール》
    LX:ベルリナブラック+切削クリア
    EX:ベルリナブラック+ダーク切削クリア

    ホンダ・シビックLXのエクステリア。LEDフォグライトの有無やホイール&ドアモールディング色の違いが「EX」との主な識別点。写真のボディカラーはNH-977Pソニックグレー・パール

    「LX」と「EX」の価格差は34万9800円と大きく、装備内容にも相応の差がある。また、シビックには「e:HEV」と「タイプR」を含めてメーカーオプションの設定がなく、ディーラーオプションも限られているため、グレード間の装備差をオプションで補うのが難しくなっている。

     しかし、「LX」でも「ホンダコネクトディスプレー+ETC2.0車載器<ナビゲーション連動>」が標準装備されるなど、機能装備は充実している。車両本体価格も「EX」の353万9800円に対し「LX」は319万円(いずれも6速MT車・CVT車とも同額)と、20歳代の社会人でも現実的な価格帯になるため、若年層にはまず「LX」から提案したい。

    ホンダ・シビックLX・6速MT車のインテリア。シート表皮、フロントシート形状、シフトノブ形状・材質が「EX」との主な識別点

    「e:HEV」の装備内容は標準モデルの「EX」にほぼ準じているが、フロントアッパーグリルとドアモールディングがグロスブラックで、ドアミラー色はブラック、シフト操作がボタン式となり、メーター表示も専用となるなど、細部の仕様が異なる。

    「e:HEV」専用10.2インチデジタルグラフィックメーター。ODOは右下に常に表示され、TRIP A/B切り替えはステアリング右側のロータリーダイヤルで行う

     ホットバージョンの「タイプR」は安全・快適装備以外の多くが専用品。

     外装は空力性能向上、パワートレインおよびブレーキ冷却性能の向上、操縦安定性向上のため、フロントバンパー・グリル・ボンネットおよびリヤバンパーが専用形状となり、前後フェンダーがワイド化されたほか、サイドシルガーニッシュとリヤスポイラー、リヤディフ-ザーが標準装備されている。

     タイヤは共同開発品のミシュラン・パイロットスポーツ4S(265/30ZR19 93Y)が標準装備され、アルミホイールもインナーとアウターの形状を反転させた「リバースリム構造」を採用する専用品が装着される。

     これらに伴い、全長は45mm長い4595mm、全幅は90mm広い1890mm、最低地上高は10mm低い125mm、最小回転半径は0.2m大きい5.9mとなっているため、狭い道や急斜面、大きな段差などは基本的に避けたい。

     また前輪駆動ながら動力性能が非常に高く、加速時にホイールスピンを誘発しやすいため、カーオーナーはもちろんスタッフにも取り扱いに細心の注意を払うよう促すべきだろう。

    ホンダ・シビックタイプRのエクステリア。写真のボディカラーはNH-0チャンピオンシップホワイト

     室内の装備も大きく異なり、アルカンターラ巻きステアリングホイールやステンレス製スポーツペダル、アルミ製シフトノブ、メーター表示なども専用となる。

     とりわけ注意したいのはシートの仕様で、フロントは赤いラックススエード表皮のセミバケットシート「Honda TYPE Rシート」が標準装備。リヤは中央にシートベルトがなく着座不可能な2人掛けとなっているため、特にファミリー層と商談する際は説明を忘れないよう気をつけてほしい。

     競合車種は国産車がトヨタ・カローラスポーツ(GRカローラ含む)、マツダ3ファストバック、スバル・インプレッサ。輸入車はフォルクスワーゲン・ゴルフ、ルノー・メガーヌ、プジョー308。

     いずれも各ブランドを代表するモデルでトータルバランスに優れるが、シビックは「タイプR」以外のモデルにも備わるスポーティで操る喜びに満ちた走り、伸びやかでクーペライクなフォルム、シンプルかつ上質な内外装、広く使い勝手の良い荷室など、独自の魅力を数多く持つ。

     ただし4WD車の設定がなく、全長が長く、最小回転半径が大きく、後席ヘッドクリアランスが乏しいなどの点で、地域とカーオーナーを選ぶのは否めない。

     なお、「タイプR」は2023年1月、その他モデルも同年3月より受注を停止。本稿執筆(2023年5月)時点でも継続している。受注再開の際にはいち早く成約を獲得しつつ、納車まで長期間待つであろうカーオーナーへのケアを怠らないよう心がけたい。


    【グレード一覧】
    《標準モデル》
    LX…319万円(FF・6速MT/CVT)
    EX…353万9800円(FF・6速MT/CVT)

    《e:HEV》
    394万200円(FF)

    《タイプR》
    499万7300円(FF・6速MT)


    (文=遠藤正賢 写真=本田技研工業、遠藤正賢)

    ホンダ・シビックタイプRのインテリア

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