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    【IAAE2023:自動車技術総合機構】OBD検査プレ運用が2023年10月開始。「OBD確認」とは?

    認証工場が「OBD確認」を車検前に実施した場合は検査場でのOBD検査が原則省略

    • #イベント

    2023/03/27

     2023年3月7~9日に東京ビッグサイトで開催された、自動車アフターマーケット総合展示会「国際オートアフターマーケットEXPO(IAAE)2023」。

     セミナープログラム「自動車検査の現状と今後の取組み~OBD検査導入に向けた取り組みについて~」には、自動車技術総合機構(以下、機構)の山崎孝章理事が登壇。機構の業務内容を紹介したほか、2023年10月よりプレ運用、2024年10月(輸入車は2025年10月)より本運用が開始される、OBD検査について説明した。

    自動車技術総合機構の山崎孝章氏

     まずOBD検査が導入される背景として、山崎理事は「現在の車検はメカニカルな問題を見つけるのが中心で、電子系の不具合を発見するのが難しい」と説明。

     なお、諸外国でも同様の動きがあり、「ISO標準が最近出来上がり、『だいたいこういう中身』というところまでは決まっているが、それが具体的に保安基準に抵触するかという情報が入っていない。またどの故障コードを使うかが自動車メーカーによって異なるため、車検への活用がまだ検討段階にある」という。

     これを踏まえて日本のOBD検査では「技術情報を事前に自動車メーカーから提出していただき、それらを2021年10月以降、OBD検査対象車の特定故障コード(DTC)を機構サーバーに蓄積。それに当てはまるかどうかで保安基準的に○×の判定を行うという考え方で制度を作っている」と解説している。

     なお、OBD検査時に、DTCを正しく検出できる車両状態であることを確認するための適合条件を、以下の通り設定している。


    【排ガス系システム】
    ・OBDが機能するために必要な電圧が確保されていること。
    ・MIL(排ガスに係る警告灯)がONでないこと。
    ・レディネスコード(故障診断の前提条件が成立していること(「完了」)を示すコード)が1つ以上完了であること。
    ・特定故障コード(DTC)が検出されないこと。
    ・通信成立性が確保されていること。

    【安全系システム】
    ・特定故障コード(DTC)が検出されないこと。(注:関連する全てのECUとの通信が不成立となった場合には、警告灯の点灯状態を確認し、警告灯が不点灯であれば適合。)


     さらに、OBD検査対象車の判別方法について、紙の車検証、また2023年1月より交付開始された電子車検証にも、券面の備考欄に「OBD検査対象(車)」と記載されるようになっていることを紹介した。

    電子車検証からのOBD検査対象車判別方法

     OBD検査のシステムは、2023年4月にリリース予定となっているが、これを利用しプレ運用および本運用時にOBD検査・確認を行うためには、事業場の認証・指定を受けたうえで、事業場ID申請、工員・検査員などの利用者登録・管理、特定DTC照会アプリのインストールといった、事前準備が必要となる。

     この事業場ID申請について山崎理事は、「OBD検査システムのリリース後に専用ポー¥@タルサイトから可能となるので、整備事業者の皆様はぜひ利用者登録をお願いしたい」と呼びかけたうえで、「個者申請のほか整備振興会経由で一括登録も可能」と説明した。

     なお、OBD検査に必要な機器類として、インターネット環境、PC・タブレット、検査用スキャンツール、また必要に応じてICタグリーダーやQRコードリーダーを挙げているが、PC・タブレットはWindows10の特定DTC紹介アプリをインストールしたものとなる見込み。

     検査用スキャンツールについては、日本自動車機械工具協会(機工協)が2023年2月20日より型式試験申請受付を開始しており、今後認定品が順次発売される状況であることを明らかにしている。

    OBD検査に必要な機器類の概要

     また、特定DTC紹介アプリに実装される機能についても紹介。検査員が完成検査の際に使用する「OBD検査」モードのほか、工員または検査員が点検整備に使用する「OBD確認」モードがあり、「『OBD確認』を認証工場が事前に実施し車両を検査場に持ち込んだ場合は、その場でのOBD検査が省略される(注:ただし抜き打ち検査あり)制度設計になっている」と説明した。

     なお、検査用スキャンツールを導入した際は、機構のOBD検査システムへの登録に加え、管轄の運輸支局等へ検査機器の届出が必要になる。2023年4月より受付開始されるが、「これは検査用スキャンツールを変更した場合も届出が必要になることを理解しておいてほしい」と、山崎理事は呼びかけている。

    特定DTC紹介アプリに実装される機能

     そして、特定DTC紹介アプリの使用方法についても説明。

    1.車検証情報を読み取り・入力
    2.サーバーに接続してOBD検査対象車かどうかを判定
    3.OBD検査を開始
    4.項目別の車検合否判定結果と読み出した特定DTCが表示される

    といった一連の流れが、2023年10月から2024年9月までのプレ運用期間中に確認できるようになる。「最終的にはその結果が機構のサーバーに蓄えられることで、OBD検査の実施結果が残ることになるが、その部分以外がプレ運用で可能になると想定しているので、この1年間を通じてぜひ習熟を進めていってほしい」と期待を込め、講演を終了した。


    (文・写真=遠藤正賢/図=自動車技術総合機構)

    OBD検査のプレ運用期間中にできること

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