JOURNAL 

    EZ Blust JAPAN 社長 栗原 修一氏

    鈑金塗装のノウハウを活かし 重曹ブラスト装置を開発

    • #インタビュー

    2022/11/15

    EZ Blust JAPAN(茨城県石岡市)は、重曹由来の研磨材を用いた「EZ-Blust(イージーブラスト)」を開発し、カーアフターマーケットをはじめとした各業界に拡販している。鈑金塗装やカスタムペイントの技術者を経て同装置の開発に至った栗原修一社長に、技術の概要や特徴、作業上の注意点などを聞いた。

    ──重曹ブラストの概要について
     重曹をメディア(研磨材)として対象物に投射し、加工する重曹ブラストは、水を混合させずメディアのみ吹き付けるドライブラストと、水とメディアを混合させて吹き付けるウエットブラストの2つに大別される。当社で開発したEZ-Blustはドライ、ウエットのどちらにも対応し、簡単に切り替えられる構造になっている。
     重曹ウエットブラストは水を使うため、メディアの溶解時に気泡が発生し、汚れが浮かび上がる。作業中は粉塵が舞いにくく、削り取られた汚れや研磨材が残りにくい。ドライブラストに比べて威力がマイルドなため、母材をより傷めにくいなどの特徴がある。

    EZ-Blust

    ──EZ-Blustの開発に至った経緯は
     私は元々鈑金塗装技術者で、10年ほど前まではカスタムペイント、チューニングなどを本業としていた。重曹ブラストは元々、アルミホイールの塗り替え作業における細かい個所の汚れ落としと足付けに活用していた。重曹ブラストは古くからある技術ではあるが、車体整備の現場ではまだまだ浸透していないと感じている。そこでこれまで培った知見と経験を活かし、開発に踏み切った。

    ──EZ-Blustの特徴について
     最大の特徴は、メディアに重曹を用いていることである。重曹は人体や地球環境への悪影響はほとんどなく、安全性が高い物質と言える。メディアがエンジン内部、足回りなどに残ると傷が付く恐れがあるが、重曹は洗い流せば水に溶ける。万が一少量残留しても最終的には融解される。また、メディアは湿気によってダマにならないよう、粒径をそろえてある。原料はモース硬度2.5(人間の爪と同程度の硬さ)で、目的や作業個所の状態によってはプラスチックやアルミ合金などにも使用可能。
     EZ-Blustの威力は砂やアルミナを使ったサンドブラストと高圧洗浄機の中間程度で、作業後には水で溶かしてメディアを除去できる。したがって足回りの赤錆やブレーキダストの除去、重機に固着したグリスや油分除去、エンジン外観の洗浄など様々な用途に適している。作業後には腐食が発生しにくくなるので、防錆処理までの時間が長めに取れるのも利点である。

    ──作業上の注意点について
     EZ-Blustはエアを動力源としているため、3.7kW(5馬力)以上のコンプレッサーの使用を推奨している。連続使用を前提としている場合、エアの容量はなるべく多いほうが望ましい。
     また、エアに水分や油分が混入していると、安定噴射の妨げになる。研磨材の硬度は比較的軟らかいので、膜厚の厚い塗膜や、硬度が高い塗膜を広範囲にわたって除去するのには不向きである。作業の際には、はく離剤との併用を勧めている。



    取材協力先:EZ Blust JAPAN
    Webサイト:https://ezblust.com/

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