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    間違いだらけの自動車修理 いしよしこれでよしwebバージョンVol,2

    リヤシートのフレーム損傷を見逃していないか~BSRweb限定記事~

    • #特集

    2022/10/19

     追突被害を受けたり、クォータパネルに側突されたなど、リヤ回りを損傷した車両は事故時の衝撃でシートフレームが歪んでしまうことがある。ところが、シートフレームそのものは外から見えないこともあり損傷を見逃してしまうことがしばしばある。
     納車後に顧客からシートの座り心地がおかしいと訴えがあって初めて気がつくといった失敗談を打ち明けてくれる工場は意外と多い。結論は、リヤ回りを損傷した車両はリヤシートに座ってみるしかないわけだが、今回はミニバンのサードシートの事例を題材に考察する。


    ■格納式のミニバンサードシートは
    非展開でも壊れることがある



    ホンダ・オデッセイ(RC1・2・4系)

    サードシート格納のようす

    サードシートが格納状態で事故は起こった。リヤのダメージは比較的軽微でリヤフロアの交換はなく修正のみだったがシートフレームが歪んでしまった

     3列シートのミニバンにおいてサードシートが折りたたんで収納できる車両が増えている。収納方法は跳ね上げ式と床面への収納式の2つが多い。サードシートが収納できるようになっているのは、普段は荷室として活用できるようにしているためである。
     取材を行っていると、ミニバンなどのサードシートが格納状態であったにも関わらず損傷を受けており、損傷を見逃したという話を耳にすることがある。保険仕事の場合事前協定で漏れてしまうと後で気が付いても追加計上が難しいためリヤ回りにダメージを受けた格納式のサードシートは一度展開してみることをオススメする。
     よくあるパターンは、展開する時にシートを固定する金具の噛み合いが悪い、展開するための軸が歪んで動かす時に抵抗感があるなどが挙げられる。ダメージが大きければ確認することはあるだろうが、比較的ダメージが小さくても、かん合部や摺動部の違和感は素人でも気が付きやすいのでプロが見逃すことがないようにしたい。


    ■シートが組み上げ状態で供給されない車両は
    より慎重な判断が必要


    取り外されたサードシート。周辺に写り込んでいる部品の多くはサードシートのもの。部品点数が多く組み上げにおよそ5時間程度かかった

     事例として紹介するホンダ・オデッセイ(RC1・2・4系)。追突被害にあった車両で、バックドアを交換したがリヤフロアは修正で済んだ。サードシートは床面に収納状態であったが、腰掛けると違和感があり、衝突の影響でシートフレームが歪んでいたことが分かった。
     この車両はサードシートが組み付け状態で供給されない。このようなケースでは工数の問題が出てくる。シートの組み上げは非常に時間がかかる作業だからだ。
     サードシートの脱着・取替指数の相場は0.30から0.50程度である。組み上げした工場によるとオデッセイのサードシートの組み上げには5時間程度を要したという。
     組み上がった状態の供給であれば、脱着の数値をそのまま計上しても問題にならないが、シートを組み上げる必要がある場合は部品代だけでなく工数の問題も生じる。
     着座時の違和感や、操作感は写真では伝わらないので、リヤ回りにダメージを受けた車両のリヤシートの状態確認はていねいに行うことをおすすめする。





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