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    「楽に、早く」直す軽補修と洗車の親和性とは?

    【BSRweb独自連載】洗車で始める顧客獲得 第5話

    • #一般向け

    2022/09/01

    本荘興産・平井社長による「洗車で始める顧客獲得」の第5話。今回は小さな傷や凹みを目立たなくする「軽補修」と洗車の親和性についてお話しします。
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     洗車を集客及び収益の柱にしているガソリンスタンドでは、「ピッカーズ」や「カーコンビニ倶楽部」などのように短時間かつ手ごろな料金で傷、凹みを修理できる軽補修が盛んに行われています。
     
     最近改めて考えているのは、洗車と軽補修は親和性が高く、鈑金塗装工場における事業の柱になる可能性を秘めているということです。そこで今回より 2 回に分けて、洗車と軽補修の親和性、事業化への展望についてお話しします。

    軽補修と鈑金塗装の違いとは?

     軽補修とはドアやバンパーなどに付いた小面積の傷、凹みを補修することを指します。あくまで傷や凹みが目立たない程度までしか補修しないので、鈑金塗装の技術者からは「なんと低レベルな連中なんだ!」と映るかもしれません。
     しかし、軽微な損傷を効率的かつ合理的に直すための技術、ターゲットを絞り込んだ販売の仕組みなど、ビジネスの視点から眺めると無視できない存在ではないでしょうか?

     昨今の半導体不足により新車生産に遅れが出たことで、中古車にシフトするカーオーナーが急増。それによってリースアップ車両の補修需要が活性化しました。
     最近ではトヨタの「KINTO」、ホンダの「Honda マンスリーオーナ―」など、カーメーカー公式のサブスクリプションサービスが相次いで発表されており、自動車業界の環境変化はさらに加速しています。

     マイカーを Web で手軽に契約できるようになった今だからこそ、軽補修と洗車は注目される存在になると確信しています。その理由を探るべく、軽補修のターゲットと効率化の極意について、もう少し深掘りしてみましょう。

    コロナ禍以降、新車販売台数は落ち込む一方で中古車の登録台数は堅調に推移。新車需要の一部を中古車が取り込んでいると見られる。(日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会の公表値を基にBSRweb編

    軽補修のターゲットは高齢者?

     軽補修がターゲットにしているのは、小さな傷や凹みを早く、手ごろに直したいと考えるカーオーナーです。目指す修理品質は、そうしたカーオーナーが見て充分きれいだと言えるレベルと定めています。
     中でも高齢ドライバーは軽補修を訴求しやすいと言えます。狭い路地や車庫入れなどで車をこすってしまい、そのまま放置している方は少なくないでしょう。70 歳代である私の両親に話してみると、大いに共感してくれました。

     また高齢ドライバーに限らず、ご家族に内緒でさっと直したいなど、中高年の主婦層からの問い合わせも多いようです。ちょっとした傷を数万円で修理できることを発信すれば間違いなく反響があるはずですが、実践している鈑金塗装工場はそう多くはないという現状があります。

    誰でも簡単に見積りと商談ができる

     軽補修を効率化・収益化するための工夫について一例を挙げると、ピッカーズでは傷や凹みを専用のメジャーで測定するだけで修理費を算出できるツールが用いられています。
     そのため、経験が浅いスタッフでも短時間で見積りが可能です。たとえば給油や洗車のために訪れたお客様の車に小さな傷を見つけた時に「この傷、当店でお手頃に直せますよ」と声を掛けやすいです。

    ピッカーズでは、損傷の状態や範囲に応じて修理費の目安が算出できるスケールが用いられている

     また、「普通の鈑金塗装がカウンターの寿司屋さんなら、軽補修は回転寿司です。この小傷は回転寿司でも良いのでは?」といった例え話を組み込むと、軽補修がどのようなものなのか想像しやすくなります。
     このセールストークの仕組み化、つまりいつ、どこで、誰がやってもできる状態にすることを、鈑金という分野で実現したのは発明といっても過言ではないでしょう。従来は見積りだけで時間がかかっていたのとは大きな違いです。

     今回紹介したのは、軽補修を楽に、早くこなして収益化するための一つの手段に過ぎません。作業が効率化できると、お客様との対話や提案活動などに時間を充てられます。それによって多くのチャンスをつかめるようになるのは、前回までに紹介した事例でもお伝えした通りです。
     「楽に、早く」は一見、雑な仕事と勘違いされがちですが、ビジネス発展につなげるためには必要な要素だと確信しています。

     次回は、大きな可能性を秘める軽補修において洗車がどのように活かされるのか、そのヒントについてお話しします。


    著者プロフィール



    平井新一(ひらいしんいち)
    株式会社本荘興産 代表取締役社長
    岡山県倉敷市出身 1974年生まれ

    大阪の音楽系専門学校を卒業後、北海道の美装専門店での現場修行を経て1999年に同社へ入社。営業担当として全国を飛び回る傍ら、国産カーメーカーの純正ボデーコーティングの企画・開発にも関わる。2014年より現職。
    近年は洗車ビジネスに関するセミナー講師やクライアント企業のブランディング・PRのサポートなどにも取り組んでいる。

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