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「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が自動車産業にもたらす影響とは?【IAAE2021セミナーレポート05:経済産業省】

カーボンニュートラル=温室効果ガス排出の差し引きゼロ。パワートレインや動力源の多様性は保たれるか?

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2021/05/03

 3月17~19日にオンラインで開催された自動車アフターマーケットの総合展示会「IAAE2021 ONLINE Vol.1」で、総計43本が無料公開されたセミナー。

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(自動車産業編)」には、経済産業省製造産業局自動車課の大崎友和課長補佐(部品担当)が登壇。2020年12月に策定された同戦略における、自動車産業に向けた同省の取り組みについて講演した。

経産省の大崎友和氏

 2020年10月に菅義偉内閣総理大臣が「2050年のカーボンニュートラル実現を目指す」と宣言したが、このカーボンニュートラルとは、温室効果ガス排出の実質ゼロ、つまり排出をゼロにするわけではなく、森林によるCO2の吸収やCO2の回収・再利用によるマイナス分も併せて、差し引きゼロにすることを意味する。

「同様の宣言や取り組みは世界120ヵ国超が行っているが、これを経済成長の制約やコストと考える時代は終わり、国際的にも成長の機会と捉える時代に突入した」として、経済と環境の好循環を作っていく「グリーン成長戦略」の必要性を訴えている。

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の分野別政策概要

 カーボンニュートラル実現に当たっては、電力部門の脱炭素化を大前提としたうえで、それ以外の分野では電化の推進が中心となる。その中で自動車・蓄電池産業においては、「2050年の自動車のライフサイクル全体でのカーボンニュートラル化を目指すとともに蓄電池産業の競争力強化を図る」として、

1.電動化の推進・車の使い方の変革
2.燃料のカーボンニュートラル化
3.蓄電池の競争力強化

を政策の柱としている。

 なお、1.に関しては現時点で「2035年までに乗用車新車販売での電動車100%を実現」というより踏み込んだ目標が掲げられているが、ここで言う「電動車」にはEV(電気自動車)のほか、FCV(燃料電池車)やPHV(プラグインハイブリッド車)、ハイブリッド車、マイルドハイブリッド車も含まれている。また商用車についても、20201年夏までに検討を進める計画。

 そして、直近10年間ではEVの導入を強力に推進するとともに、軽自動車や商用車においてもEVやFCVへの転換を促すことも明記されている。

 2.については、2050年に合成燃料のコストをガソリン価格以下とすることを目標としている。これに関し大崎氏は、「既販車やハイブリッド車において内燃機関は残るため、燃料を使うこと自体がすぐさまなくなるわけではない。そこで、燃料のカーボンニュートラル化を達成できれば、走行時に発生するカーボンは実質ゼロに近づいていく」と補足した。

自動車・蓄電池産業のカーボンニュートラル化に向けた政策の概要

 3.については、自動車産業以外でも重要度が高いことから、蓄電池生産の大規模化や性能向上の研究開発に向けた支援を行うこととしている。

自動車・蓄電池産業のグリーン成長戦略ロードマップ

 さらに、水素産業に向けた政策についても説明。FCトラックの開発・利用促進、水素ステーションの開発・整備支援にも取り組むことを紹介した。

 なお、経産省は2021年3月8日より「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」を発足させ、4月28日までに計4回開催。関連業界団体へのヒアリングを通じ、自動車・蓄電池産業に向けた政策・目標の改訂やさらなる具体化を進めようとしている。

 この「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」、政策の方向性を誤れば国際競争力がかえって低下するばかりか、特定産業・企業の縮小・消滅を招きかねない。今後の動向に注目していきたい。


(文=遠藤正賢/写真=IAAE運営事務局/図=経済産業省)

水素産業のカーボンニュートラル化に向けた政策の概要

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