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海外の、そして世界の車体修理は今後どうなる?【IAAE2021セミナーレポート03:米コリジョンハブ/英サッチャムリサーチ】

車体修理は修正から交換、溶接から接着・リベットの時代へ。リペアラビリティ向上とADASエーミングの標準化・集約が大きな課題に

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2021/05/01

 3月17~19日にオンラインで開催された自動車アフターマーケットの総合展示会「IAAE2021 ONLINE Vol.1」で、総計43本が無料公開されたセミナー。

「海外における車体整備の動向と今後の展望~欧米に学ぶ自動車修理の最前線」には、米コリジョンハブのジェイソン・B・バータネン氏と、英サッチャムリサーチのミラー・クロッカート氏が現地よりオンライン上で、それぞれ北米と欧州における車体修理の動向を説明した。

 米コリジョンハブのバータネン氏は「2021年以降の自動車車体整備における課題」と題した講演で、「この業界で成功するには常にカーオーナーの安全性を第一に考えなければならない」としながら、主にADAS(先進運転支援システム)と車体の素材について言及。

 ADASの点検整備に関しては、「スキャンツールが不可欠なうえ、センサーの校正方法は車種ごとに大きく異なるため、カーメーカーへのサービス情報へアクセスして適切な整備方法、具体的にはエーミングが静的なのか動的なのか、どのようなターゲットが必要か、などを特定しなければならない」と現状の問題点を述べながら、「将来的にはカーメーカー同士が協業していく中で、ADASの要件が標準化され集約されていくことを期待している」と述べた。

 そして車体の素材について、まず鋼板は「年々高張力化するとともに成形性も向上しており、自動車の設計開発に大きな影響を与えているものの、修理方法は依然としてごく限られているという意味において、車体修理には大きな影響を与えていない」と指摘。

「カーメーカーが認める骨格修正の方法は今後も限られ、特に熱を加える方法は使えない。そのため部品が破損した場合はその部位全体を交換しなければならないうえ、カーメーカーの修理要件に対応するには工具・設備やトレーニングへの投資が必要となる」としたうえで、「スポット溶接は今後も用いられるが、MIG溶接や構造用接着剤の使用は増え、特に後者は溶接・リベットの併用のみならず単体での接合も増えるだろう」と推測している。

 一方、アルミニウム合金については、「鉄鋼の進歩によって、アルミの採用は数年前の予想よりは広がっていない」ながらも、「外板へ採用する車種は引き続き増加している」と現状を説明。

 だが、「多くのカーメーカーはアルミ車体の修理にクリーンルームと専用ツールを求めている」ものの、「セルフピアシングリベットやブラインドリベットは構造用接着剤とともに、ガルバニック腐食や粉塵爆発のリスクを最小限に抑えられるいう研究結果も出ているので、後発メーカーなどがこれらの修理方法を採用することを期待している」との見解を示した。

 バータネン氏はこれらの現状を説明したうえで、「今後は車体のマルチマテリアル化が進むとともに、車体修理は修正ではなく全体を交換するケースがますます増加する。まだ溶接機を捨てる時期ではないが、10~15年後には構造用接着剤やリベットなどのメカニカルファスナーに取って代わられるだろう」と、車体修理の将来像を予測している。

米コリジョンハブのジェイソン・B・バータネン氏

 英サッチャムリサーチのクロッカート氏は「海外車体整備セミナー」と題した講演で、同団体が自動車保険の保険金請求コストを削減しつつ高い安全基準を維持することを目的として、1969年に損害保険業界が非営利の研究団体としてイギリスで設立された経緯を紹介。

 現在は政府やカーメーカー、修理工場とも連携しながら、RCAR(自動車修理研究評議会)の創設に携わり、またユーロNCAPにボードメンバーとしても関与して、全乗用車の型式別料率や予防・衝突安全性能、車体修理の方法に関するデータなどを広く提供していることを説明した。

 こうした取り組みを踏まえたうえで、「消費者は予防・安全性能に関する我々のガイダンスを求めている。そして自動車保険は車両購入時の重要な要素の一つであり、安全性とセキュリティに優れ、保険料率が良い車両はイギリスの市場で成功する」と市場動向を分析。

 また、「自動車保険金支払の半分以上は車体修理に使われている。そのためスペアパーツのコストや修理に必要な時間は自動車保険料の設定において重要な要素となる。それは消費者の購買行動に直結する」としたうえで、「カーメーカーはマーケティング戦略のうえでも、リペアラビリティ(修理しやすさ)について、速さやデザインの美しさと同様に、新車開発の初期段階から考慮しなければならない」と提言している。

英サッチャムリサーチのミラー・クロッカート氏

(文=遠藤正賢/写真=IAAE運営事務局)

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