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    【IAAE2021セミナーレポート02:日本損害保険協会/住友三井オートサービス】交通事故が減っても自動車保険の重要度は当面変わらず。ではどう付保率をアップする?

    自動車保有台数と自動車保険収入保険料は依然増加傾向。安全運転の啓発・促進と車両保険の負担軽減が鍵となるか

    • #イベント

    2021/04/15

     3月17~19日にオンラインで開催された自動車アフターマーケットの総合展示会「IAAE2021 ONLINE Vol.1」で、総計43本が無料公開されたセミナー。

    「変わりゆく損害保険市場」には、日本損害保険協会 業務企画部 自動車・海上グループ係長の大良美徳氏と、住友三井オートサービス モビリティソリューション開発部の菅原崇人氏が登壇。自動車保険の動向を説明した。

     大良氏は「保険の現状と今後」と題した講演の中で、損害保険全体の収入保険料が2009年度には約7兆円だった所、2019年度には9兆円弱へと拡大し、その中で最大のシェアを占める自動車保険も同じく3.4兆円から4.1兆円へと増加していることを指摘。「社会で最も大きなリスクは自動車保険が関わる領域」としている。

     また、自動車の販売台数は毎年500万台前後で推移する一方、保有台数は2010年度から微増が続いており、「自動車保険の契約件数は増加傾向にある」との見解を示した。

     しかしながら安全技術の普及・進化などにより、事故の発生件数および死者数は減少の一途を辿っているものの、2019年の10万人あたり交通事故負傷者数は292.8人。「事故遭遇率は0.3%と、リスクとしてはやや大きい方」と述べ、自動車保険が依然として重要度が高く、安全技術の普及・進化や人口減少、カーシェアなどの普及が進んでも、「自動車は当面の間、社会にとって大きなリスクであり続ける」ことを示唆している。

    日本損害保険協会の大良美徳氏

     菅原氏は「オートリース会社ならではの新サービスについて~自動車保険編~」と題し、同社が展開するテレマティクスサービス「SMAS-スマートコネクト」および「モビリティパスポート」について紹介。そのうえで、同社が推進する交通事故削減活動について説明した。

     交通事故による死者数は減少傾向にあるものの、衝突速度が30km/hを超えると致死率が約4倍に急上昇(30km/h以下=0.36%、30km/h超=1.52%。ITARDA平成30年交通事故データより)。また同社子会社であるSMAサポート扱いのオートリース契約における発生場所別事故件数は、駐車場が39%を占め、直線道路が21%、交差点付近が10%、交差点内が総計17%などとなっている。

     こうしたデータから、「運転に慣れていない新人ドライバーが車庫で後退時などに損傷することが多いだろう」「直線道路では飛び石によるフロントガラス損傷が多いのではないか。居眠り運転を起こした企業の業務運営体制は大丈夫だろうか」といった仮設を立てられることに言及。

     これらの知見に基づき、同社ではオートリース契約を結ぶ企業の従業員を対象に、提携の自動車学校約170校で提供する「ADSTトレーニング」など、様々なオリジナルの安全運転講習会を展開。これらの取り組みが功を奏し「自動車保険契約が順調に増加にしている」と、その成果を強調した。

     一方、同社における車両保険の付保率は約60%に留まっている。契約企業約120社に対しヒアリングを行うと、51%の契約者は車両保険に満足しておらず、車両保険を加入していない契約者の79%は「保険料が高い」、約7%が「事故実績により保険料が大きく変動する」ことを理由に挙げている。特に後者については「飛び石やもらい事故などでも車両保険を使えば保険料が上がることを良く思っていない」という。

     だが、車両保険に加入していない企業は、事故の度に支払業務が発生するうえ、修理費用を抑えるために相見積もりを取得しなければならず、そのために事故対応専任のスタッフを配置する必要があるなど、「お客様の本業とはほど遠いことにリソースを割くのはもったいない」と指摘。

     その実態を受けて同社では、時価に応じて保険金額が下がっていくうえ、対人・対物・人身傷害の事故でも保険料が一括で上昇する従来の自動車保険に対し、車両保険を切り離したうえで契約期間中の車両保険金額を任意で一定の額に設定可能とする、新たな自動車保険を構想している。

     同社契約者を対象にした調査によれば、50万円超の損害が発生する事故は約5%、30万円超の損害が発生する事故も約10%に過ぎない。「車両保険金額を時価相当額ではなく30万円または50万円に設定すれば、90%または95%の事故を自己負担なしでカバーできるため、割安な保険料を引き出しやすくなる」というこの構想を、同社では独自の保険サービスとして展開する計画。また、テレマティクスから取得した運転挙動データを元に事故リスクを評価し、保険料を決定するサービスの構想も明らかにしている。

    (文=遠藤正賢/写真=IAAE運営事務局)

    住友三井オートサービスの菅原崇人氏

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