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日車協連各単組、エイミングツールの貸し出しを開始
2021/03/15
2月7日、富士山アリーナ(山梨県富士吉田市)で開催したAUTEL ADASキャリブレーション研修で参加者を激励する山梨県車協の市川清理事長。電子制御装置整備協業化へ いち早く取り組み山梨モデルを作り上げた。そこには「厳しい競争環境にある今こそ、 組合が相互扶助の精神の下で存在意義を示す時。山梨を参考に他県も続いてほしい。組合に参加していない工場には入会を促すきっかけにもなるのではないか」という強い思いがある。
日本自動車車体整備協同組合連合会の一部単組が組合でスキャンツールやターゲットなどのエイミングツールを購入し、特定整備認証を取得している組合員工場(先進安全自動車対応優良車体整備事業者とする場合もある)へ貸し出しする動きが広がっている。
山梨県自動車車体整備協同組合はこの取り組みにいち早く着手し、電子制御装置整備の協業体制構築への枠組みを作り上げた。
山梨県車協は「地域における事業者間連携による自律的取組に係る支援業務」の補助金を積極的に活用し、エイミングツールを組合で購入。購入した機器を先進安全自動車対応優良車体整備事業者の組合員工場数社に配備した。機器を預かった工場と周辺の組合員工場とで、電子制御装置整備の業務について協業体制構築を促すのがねらい。将来的には片道30分以内で往来できる範囲に、その地域の代表となるような電子制御装置整備の拠点工場を作っていく計画だ。
このように、組合で費用を出してエイミングツールを購入し、電子制御装置整備に対応できる有力な工場に配備することで、地域内での協業体制が完成すれば、組合への加盟に具体的なメリットを示すことにもつながる。本来、組合活動は何らかのメリットを享受するために参加するものではないという意見もあるだろう。だが、加速度的に高度化する車両の電子制御や、それに伴う法整備、少子高齢化によって難航する人材確保など、近年の激しい市場環境の変化に際し、業界団体である組合が相互扶助を目的に協業化の枠組みを提案することは、意義のある試みだ。
市川清理事長は、電子制御装置整備の協業体制構築に注力した背景について、今こそ組合の相互扶助の精神を実感できる絶好の機会だと語る。小規模事業者の集まりである鈑金塗装工場それぞれが、国内カーメーカーの電子制御装置整備に必要なスキャンツールやターゲットをすべて所有するのは難しい。だからこそ、あるところはトヨタ、ダイハツ、スバル、あるところは日産、三菱といったように、互いに補完しながら地域内の組合員工場同士で連携することができないかと考えている。
また、組合として人材確保や土地面積、資力など様々な事情で特定整備認証の取得が難しい組合員工場は、電子制御装置整備の仕事にどう対応すべきか不安に感じているところが少なくない。組合として、電子制御装置整備から取り残されない仕組みづくりこそ、組合存続、ひいては鈑金塗装業界を次世代に引き継ぐために必要であると見ている。
また、単なる弱者救済のみならず、電子制御装置整備において地域の中心となる工場にもメリットがある。電子制御装置整備の仕事が集まりやすくなり、投資の回収がしやすくなる。電子制御装置整備を積極的に行う工場と、対応が難しい工場の双方にメリットがある。
「電子制御装置整備への対応は、技術・資力・人材確保すべての面から対応が難しい。これからは、地理的に近い同業者を単なる競合ではなく、身近なパートナーとして協力関係を強化し、組合の価値を実感してほしい。また、「地域における事業者間連携によ る自律的取組に係る支援業務」の補助金は終わってしまったが、だからといって補助金がないからやめよう、とはならないでほしい。今後も様々な形で新しい補助金が出てくる。補助金の情報収集には力を注いでほしい」と語った。
このように、組合でエイミングツールを購入し、組合員工場に貸し出す山梨県車協の電子制御装置整備協業化モデルは市川理事長が積極的に他の単組にも伝えていることから、今後も同様の取り組みは広がると見られる。
山梨県自動車車体整備協同組合
山梨県自動車車体整備協同組合(市川清理事長)は2月7日、富士山アリーナ(富士吉田市)でAUTEL ADASキャリブレーション研修を開催した。
山梨県車協はオーテル・インテリジェント・テクノロジーのスキャンツールとターゲットを保有しており、今回の研修を受講することで貸し出しを受けられる。対象となる工場は特定整備認証を取得した工場で、受講者は整備主任者を対象に行われた。
講習内容は座学と実習の2部構成。実際に同車協から工場が借り受けて運用できることを目指し実習に重点を置いて行われた。実習車両は、トヨタ・プリウス(W5#系)、ホンダN-BOX(JF3・4系)、スズキ・スイフト(ZC13・43・53・83、ZD53・83系)。
基準線の描線が車体先端のもの、車軸基準のもの、センサーが車体中心線の延長線上か、あるいは左右にオフセットしているか、カメラとミリ波レーダーとの複合センサーなど、1種類の単純な作業を追うのではなく、それぞれの作業の特徴と、勘所を実技を通じて学んだ。
新潟県自動車車体整備協同組合
新潟県自動車車体整備協同組合(丸山憲一理事長)は2月13日、五十車体工業(新潟県 三条市)で令和2年度高度化車体整備技能講習会(電子制御装置編)を開いた。各工場の整備主任者が対象。
ADAS用センサー校正に関する座学とスバル・インプレッサ(GT、GK系)、ダイハツ・ブーン(M700・710系)の校正作業を行った。内容は実技を重きを置き、実際に入庫した場合に難しいとされる車両を用意し、実際に校正作業を行った。中でも関心を集めたのはSAⅡ搭載車であるブーン。フロントバンパーグリル部に設置された赤外線センサーの光軸調整が難しく、光軸調整ボルトが抜けてしまわないよう、フロントバンパーを取り外した状態でセンサー位置を合わせた後、フロントバンパーを取り付け、再度調整を行ったほうが失敗が少ないことが課題で取り上げられた。このように、実務を進める上で重要なポイントを詳しく解説した。
東京都自動車車体整備協同組合
東京都自動車車体整備協同組合(馬場茂理事長)は2月21日、千歳自動車鈑金工業(江東区)において先進安全技術搭載車両のエイミング(機能調整)に関する座学と実車を用いての研修を実施した。
今回は国交省の自律的取組支援策に採択されて補助金を受けての研修会開催となった。受講生は江東区や墨田区を中心とした東車協メンバー。馬場理事長によると近く、自社工場をエイミングセンターとして全面改造することで、「下町エリアで増改築が困難で特定整備認証資格取得が難しい車協会員会社に活用してもらえる施設にする」意向。
東車協においてはエーミングワールド八王子(八王子市)を東京西地区の共同センターとする方針を固めていることから、今夏中には東西2ヵ所のエイミング拠点体制が構築されることになる。
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