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【事例】自動車整備士の人材不足を外国人材で補う①

外国人材採用に10年取り組む株式会社ファミリーの実態と課題

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2026/05/08

自動車整備業界において年々深刻化する人材不足。その解決策として注目されているのが「外国人材の採用」である。

本記事では、約10年前から外国人材の採用を開始し、現在では全従業員200人のうち外国人スタッフが20~30人を占め、第一線で活躍している、ファミリー(本社=岐阜県可児市)の事例を紹介する。
採用ルートの開拓から定着に向けた環境づくり、そして現場が抱えるリアルな課題まで、実際の取り組みをまとめた。

整備士不足を背景に10年前から外国人材を採用

ファミリーがいち早く外国人材の採用を検討し始めたきっかけは、年々加速する自動車整備士の不足に対する危機感であった。

同社と付き合いのあった保険会社の担当者から、他社における外国人材の採用事例を聞き、情報収集をスタート。現在では約10年の採用実績を持ち、現場の貴重な戦力として定着している。

■出身国に合わせた2つの採用ルート

ファミリーでは、安定した人材確保のために大きく分けて2つの採用ルートを活用している。

  • 人材紹介会社経由(フィリピン・セブ島)
    人材紹介会社経由のスタッフは全員がフィリピン・セブ島の出身。現地で1カ月ほど語学学校に通学し、基礎を学んだのちに入社している。
  • 専門学校から採用(ベトナム・中国・ブラジルなど)
    ベトナム、中国、ブラジル出身のスタッフは、日本の専門学校から採用。直接学校へ足を運んで説明会を実施するなど、積極的な採用活動を展開している。

■外国人材が定着する環境づくり

採用した人材に長く働いてもらうため、ファミリーでは生活環境のサポートにも注力している。

  • 専用マンション(寮)の借り上げ
    外国人材専用のマンションを会社で借り上げ、寮として提供。プライバシーに配慮し、3LDKで個室を完備している。
  • 日本語を中心とした自然な交流
    社内の食堂などでは、国や地域を問わず、基本的には日本語で雑談をしてコミュニケーションをとっている。一方で、鈑金塗装などの実務の指導においては、必要に応じて簡単な英単語を交えるなど、柔軟な対応を行っている。

■職場での文化の違いと「言葉の壁」という課題

外国人材を受け入れるにあたり、文化や宗教の壁を懸念する声もあるが、ファミリーにおいては特段の決まり事や問題は発生していない。「日本人よりも陽気で、その場のノリで行動する子が多い」といった性格面での違いが少し見られる程度である。

直近では5期生を採用。先輩にあたる1〜4期生が新人の通訳をしてくれるなど、スタッフ同士の自然なサポート体制も構築されている。


直面しているリアルな課題
順調に見える一方で、現場が苦労しているのが「言葉の壁」だ。入社したばかりのスタッフは日本語をまったく話せないケースもあり、業務上のコミュニケーションにおいて言語の壁は依然として残る課題となっている。

■母国での口コミが新たな採用につながる好循環

外国人材の採用を10年継続したことで、ファミリーでは人材不足の解消はもちろん、もうひとつの大きなメリットが生まれている。

それは、スタッフの母国でファミリーの口コミが徐々に広まり、そこからまた新たな採用につながっているという点である。現場での言葉の壁といった課題と向き合いながらも、ファミリーの取り組みは、確かな採用サイクルを生み出す成功事例となっている。