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米SEMAショー2025、開催
2026/01/05
世界最大級の自動車アフターパーツの見本市であるSEMAショー 2025が11月5~8日までの4日間、米国ネバダ州ラスベガスで開催された。2,400社以上が出展するカーアフターマーケットの一大イベントの様子をレポートする。 (文・写真:加藤ヒロト)
140以上の国から16万人超の業界関係者が来場するカーアフターマーケットの見本市
今年もこの季節がやってきた。自動車用品メーカーにとっては年1回の商機、カスタムカー・ビルダーにとっては憧れのステージとなる「SEMAショー」だ。
SEMAショーは「SEMA(SpecialtyEquipment Market Association、米国自動車用品工業会)」が主催する見本市で、1967年より毎年(2020年は中止)ネバダ州ラスベガスで開催している。140以上もの国から16万人を超える業界関係者が4日間の会期の間に訪れ、自動車関連の展示会では世界に類を見ない規模を誇る。
SEMAショーと言えば一般的にはアメリカならではのド派手なカスタムカーが脚光を浴びがちだが、本来は「アフターマーケット製品」の見本市となる。車のカスタムやチューニングといったエンドユーザーになじみ深い部品だけでなく、旧車のレストア用補修部品や塗装・ラッピング、電装品、工具、整備工具などの「BtoB」領域ももちろんカバーしており、出展企業も国際色豊かだ。SEMAショーに登場するカスタムカーはそれら製品を用いるデモカーとして展示される場合がほとんどで、他のイベントではお目にかかれない派手な「ビルド」たちがラスベガスの展示ホールを彩る。
米国内での人気を反映し日本車が存在感を示す
「アメ車のイベント」という印象を持つ人も多いだろうが、ここ10年ほどは日本車に関連した出展が特に目立っており、日本企業もアメリカ国内の「日本車人気」にあやかって多数出展している状況だ。かつてはフォードやクライスラー、ゼネラルモーターズといった「ビッグ3」も新製品を用いたカスタムカーを発表していたが、直近ではステランティス(ダッジ、ジープなどの旧クライスラーグループ)のみとなり、トヨタや日産、ホンダといった日本メーカーのブースがSEMAショーを盛り上げている。
ここ10年前後ですっかりアメリカになじんだ日本車ブームだが、それ以前からも日本車は密かな人気を誇っていた。1970年代から変わらずアメリカで愛されているトヨタ・セリカやダットサン系などのクラシック車種のほか、2000年代以降にアメリカで正規の左ハンドル車として販売されていた三菱ランサーエボリューションやスバル・インプレッサ、日産フェアレディZといった日本製スポーツカーが人気の中心だ。
そして、2010年代中盤ごろからいわゆる「25年ルール(製造25年経過後であれば右ハンドルでも輸入・登録可能)」の影響で、1990年代の日本車に対する注目がかつてないほど上昇。現在ではトヨタ・スープラや日産スカイラインGT-R、マツダRX-7など映画やゲームで脚光を浴びた車種たちは、SEMAショーで当たり前のように見かける存在となった。
日産フェアレディ Z(RZ34型)やトヨタGRカローラ、トヨタGR86、スバルBRZ(ZD8)、ホンダ・シビックタイプR(FL5型)といった新車も同じく人気で、SEMAショーに出展する日本のチューニングパーツメーカーはこれら車種を中心とした商品展開を行っている。また、オフロード市場ではトヨタ・ランドクルーザー(北米では250のみを販売)や北米専売のピックアップトラックであるタコマ、タンドラが台頭しつつあり、オフロード関連企業の展示ホールでは多種多様な後付けアタッチメントが用意されている。
日本企業の出展動向
前述の通り日本企業の出展も目立っており、横浜市に本拠地を置くサスペンションメーカー・テインは今年、トヨタ・ランドクルーザーとGR86の2台をブース内に展示、スポーツ系車種とオフロード系車種の二刀流で北米における事業展開をアピールした。また、群馬県にあるクスコ(キャロッセ)はマフラーメーカー・フジツボと共同でブースを出展し、それぞれが得意とする剛性パーツやサスペンション、吸排気部品を装着したホンダ・シビックタイプRとトヨタGR86を披露した。
トヨタは最も出展企業の多いホールの中心に巨大なブースを構え、今年はGR系車種やオフロード車種に加え、BEVやFCEVといった新エネルギーに関連したコンセプトカーを発表した。中でも、純電動SUV「bZ(日本名:bZ4X)」の内装をほぼすべて撤去し、ローダウン&巨大なリヤウィングで仕上げたタイムアタック仕様のコンセプトカー(❶)は大きな注目を集めた。また、セダン「カムリ」に専用のオレンジ/ブラック内外装とブラックホイール、前6ポット・後4ポットキャリパーを装備したスポーツモデル・カムリGT-Sコンセプト(❷)は多くの来場者が興味深く観察しており、トヨタも「要望が多ければ販売も検討」と前向きな姿勢を見せた。
ホンダはモータースポーツ部門「ホンダ・レーシング・コーポレーション(HRC)」名義で出展したため、全体的な傾向はモータースポーツ全振りという印象だった。日本のスーパー GTやアメリカのインディカー・シリーズ、IMSAスポーツカー選手権といった各地のレースに参戦するマシンを外周に構え、その中心を北米ブランド・アキュラが販売するインテグラ タイプSの“HRCプロトタイプ”(❸)が飾る様子は、ホンダのモータースポーツ参戦への情熱を感じさせた。
日産はNISMOブランドにおけるオフロードのイメージ構築に尽力しており、今年は例年よりもオフロード色が強かった。1990年型パトロールに1,000馬力超のTB48エンジンを換装した個体(❹、❺)は開催前から大きな注目を集めており、製作はアメリカの「フォーミュラ・ドリフト選手権」に参戦するクリス・フォースバーグのチームと共同で進められた。個体自体は日本から輸入された右ハンドルのサファリ3ドアモデルで、エンジンチューニングの他にはNISMO製17インチビードロックホイールや専用サスペンションといった装備で武骨さを演出している。他にも、現行型パトロールを砂漠仕様にカスタムしたデューン・パトロールや、マリンスポーツを楽しむためのフロンティア・ラピッド・ランナーといった、テーマの分かりやすいカスタムカーがブースに華を添えた(❻)。
トヨタbZ(日本名:bZ4X)の内装をほぼすべて撤去し、ローダウン&巨大なリヤウィングで仕上げたタイムアタック仕様のコンセプトカー