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BSR誌面連動企画『磨きの匠』 FILE#10 ベイスリー・三浦健二
自分に合った効率の良い資機材を選ぶことがイイ仕上がりへの最短の道
2025/12/12
PROFILE
三浦 健二(みうら・けんじ)
ベイスリー
経験年数 12年
主な経歴 1987年生まれ、北海道札幌市出身。高校で自動車科を卒業後、造船業などを経て、2013年に磨きの世界へ。磨き関連資機材の販売・開発企画、テクニカルアドバイザーを経験した後、2021年に独立し、ベイスリー設立。趣味は野球観戦、サーフィン。
座右の銘 挑戦なくして成功なし
――磨き作業で意識すべきポイントや考え方について
磨き作業と一言で言っても、何を、何のために、どのような仕上がりを目指して磨くのか、そのケースは多岐にわたる。テクニックや磨き方が十人十色であるように、磨く対象物や作業環境も同じではない。だが、共通して言えることは「現状の傷をさらに細かい傷に置き換える」ということである。自動車のボデーにつくスリ傷やペーパー傷は、塗装表面のクリヤー層に負荷がかかり、塗膜が破壊・変形することで発生する。この傷を消すためには、クリヤーの特性、そして傷がどのような状態なのかを的確に見極めることが不可欠になる。その上で、傷をより細かい傷へと置き換えていくためのコンパウンドやバフを最適に選定することが重要だ。
市場には様々な補修用塗料やコンパウンドが存在するが、「有名な人が使っているから」、「腕の良い同僚が推薦するから」といった理由で安易に選ぶより、自身の使用する塗料の特性やガン肌の状態、さらには作業環境や乾燥機器といった要素までを総合的に考慮し、自分にとって最も効率の良い資機材を見つけ出すことこそが、《イイ仕上がり》への最短の道だろう。
――次世代を担う若手技術者へメッセージを
自動車の進化はこれから先、さらに加速度的に進んでいく。進化した自動車には当然、新たな特性を持つ塗料が採用され、それに伴い補修用の塗料もまた進化していく。今はうまく磨けていても、新たな塗料が登場すれば、コンパウンドやバフの最適な組み合わせは変化し、通用しなくなるかもしれない。だからこそ、過去の成功体験や固定概念に捕らわれることなく、柔軟に対応し、「日本の技術者はやはりすごい」と世界中から認められる未来が待っていると信じたい。そして、100年以上も前から【磨き】という技術を進化させ続けてきた先人たちへのリスペクトの念も、決して忘れないでほしい。
【作業実演】
補修用トヨタセルフリストアリングコートのブツ取り、磨き及び経年車の磨き
高難易度塗膜と言われる補修用セルフリストアリングコートに対して、様々なリスクや作業性を考慮した上で最短工程を追求した。同社のブツ取りシステム及び同塗膜に照準を合わせて設計されたBAY.2コンパウンド、BAYBOA130バフを用いて磨き作業を行う。