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板金と鈑金の違いとは?言葉の意味や正しい使い方を分かりやすく解説!

「板金」と「鈑金」の違いをご存知ですか?この記事では、二つの言葉の本来の意味や由来、なぜ使い分けがされるようになったのかを解説します。自動車修理の際にどちらの言葉を使えば良いのかも紹介し、あなたの疑問を解決します。

  • #コラム

2025/09/08

「板金」と「鈑金」の違いタイトル

車の傷やへこみを直す際、「板金塗装」という言葉をよく耳にします。しかし、インターネットで修理業者を探していると、「鈑金」という少し見慣れない漢字を使っている工場を見かけることはありませんか。「板金と鈑金、一体何が違うの?」「どちらの業者に頼むのが正解なの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。この記事では、「板金」と「鈑金」の本来の意味の違いから、なぜ表記が混在しているのか、そして信頼できる業者を選ぶ際のポイントまで、分かりやすく解説していきます。

「板金」と「鈑金」それぞれの意味とは?

まず、「板金」と「鈑金」という二つの言葉が、それぞれどのような意味を持っているのかを解説します。漢字の成り立ちを知ると、言葉の根本的な違いが見えてくるため、自動車のボディ修理に適した漢字がどちらなのかが明確になります。

「板金」は木に関係する言葉

一般的に広く使われている「板金」の「板」という漢字は、もともと「木を薄く平らにしたもの」を指します。 そのため、言葉の成り立ちだけを考えると、「板金」は金属とは直接関係のない言葉ということになります。建築業界などで木材を扱う際に使われるのが、本来の用法に近いと言えるでしょう。

「鈑金」は金属の板を意味する言葉

一方、「鈑金」の「鈑」という漢字は、「金属を薄く延ばして平たい板状にしたもの」を意味します。 この漢字の意味から、金属のボディを持つ自動車の修理や加工に対しては、「鈑金」という表記がより正確であると解釈できます。 実際に、昔ながらの自動車修理工場などでは、こちらの「鈑金」の文字が使われていることがあります。

漢字

本来の意味

薄く平たい木材

薄く平たい金属の板

なぜ「板金」が一般的に使われるようになったのか?

本来の意味では「鈑金」が自動車修理に適しているにもかかわらず、なぜ現在では「板金」の方が広く使われているのでしょうか。それには、日本の漢字使用に関するルールが大きく関係しています。

「鈑」が常用漢字ではなかったため

最も大きな理由は、「鈑」という漢字が「常用漢字」に含まれていないことです。常用漢字とは、法令や公用文、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活で用いる場合の漢字の目安として定められているものです。そのため、公的な文書やメディアでは常用漢字である「板」を使うのが一般的となり、次第に「板金」という表記が広く浸透していきました。

職人のこだわりとして残る「鈑金」の表記

公文書で使えないにもかかわらず、一部の修理工場が「鈑金」の文字を使い続けているのには理由があります。それは、金属加工に長年携わってきた職人たちのプライドやこだわりが背景にあります。 「自分たちは木の板ではなく、金属の板を扱っているプロフェッショナルである」という自負を込めて、あえて本来の意味に即した「鈑金」という表記を使い続けているのです。

自動車修理の現場ではどちらが正しい?

言葉の由来や背景を知ると、次に気になるのは「結局、自動車修理を依頼するとき、どちらが正しいのか」という点でしょう。業者によって表記が違うと、どちらがより信頼できるのか迷ってしまうかもしれません。

本来の意味では「鈑金」がより適切

これまで解説してきた通り、言葉の本来の意味に厳密に従うのであれば、金属のボディを修理する自動車業界では「鈑金」を使うのがより適切と言えます。しかし、現在では「板金」という表記が一般的になっているため、どちらの表記が間違っているということはありません。

業者によって表記が異なる理由

業者がどちらの表記を使うかは、その工場の考え方次第です。お客様にとって分かりやすいように、広く浸透している「板金」で統一している工場もあれば、職人としてのこだわりや伝統を重んじて「鈑金」を使い続けている工場もあります。 一般的には自動車関連では「鈑金」、建築関連では「板金」と使い分けられることが多いですが、これも厳密なルールではありません。

表記の違いは品質に影響するのか?

最も重要な点ですが、「板金」と「鈑金」の表記の違いが、修理の品質に直接影響することはありません。大切なのは、表記ではなく、その工場が持つ技術力や設備、そしてお客様に対する姿勢です。表記にこだわるよりも、後述する「信頼できる業者の選び方」を参考にして、質の高いサービスを提供してくれる工場を見つけることが重要です。

表記

主な使用場面

背景・理由

板金

一般社会全般、建築系

常用漢字であるため、広く浸透している

鈑金

自動車修理業界の一部

職人のこだわりや伝統を重んじている

「板金」と「製缶」は何が違うのか?

板金加工について調べていると、「製缶(せいかん)」という言葉を目にすることがあります。板金と製缶はどちらも金属を加工する技術ですが、いくつかの点で違いがあります。

加工する金属の厚さによる違い

一般的に、板金加工は比較的薄い金属板(厚さ6mm程度まで)を扱うのに対し、製缶はより厚い金属板(厚板)を加工対象とすることが多いです。 製缶では、切断や溶接といった加工方法が中心になります。

作る製品の目的による違い

板金加工では、自動車のボディパーツや家電製品の筐体、精密部品など、比較的複雑な形状のものを製作します。一方、製缶は鉄骨や橋梁、タンク、ダクトなど、より大型で頑丈な構造物を作ることを目的としています。製品の規模感に違いがあると理解すると分かりやすいでしょう。

信頼できる板金(鈑金)業者の選び方のポイント

信頼できる板金(鈑金)業者の選び方のポイント図表

最後に、表記の違いに惑わされず、安心して愛車の修理を任せられる優良な業者を選ぶための3つのポイントをご紹介します。

見積もりの内訳が明確であること

修理を依頼する前に必ず見積もりを取り、その内容をしっかり確認しましょう。信頼できる業者であれば、どの部分にどのような作業を行い、部品代と工賃がそれぞれいくらかかるのか、といった内訳を詳細に説明してくれます。不明瞭な点があれば、遠慮なく質問することが大切です。

修理実績や利用者の評判を確認すること

その業者が過去にどのような修理を手がけてきたか、実績を確認することも重要です。公式ウェブサイトに掲載されている修理事例を見たり、インターネット上の口コミや評判を参考にしたりするのも良いでしょう。第三者の客観的な評価は、業者選びの貴重な判断材料になります。

充実した設備と高い技術力があること

高品質な修理を行うためには、フレーム修正機や塗装ブースといった専門的な設備が不可欠です。また、それらの設備を使いこなし、車の状態を正確に診断して適切な修理を行える技術者の存在が何よりも重要です。工場見学が可能であれば、実際に作業環境を見せてもらうのも一つの方法です。

まとめ

「板金」と「鈑金」は、本来の漢字の意味に違いはありますが、現在では自動車修理業界においてほぼ同じ意味で使われています。表記の違いが修理の品質を決めるわけではありませんので、言葉に惑わされず、信頼できる技術力を持った業者を選ぶことが最も重要です。この記事で紹介したポイントを参考に、あなたの愛車を安心して任せられるパートナーを見つけてください。