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危険運転の要件見直し「タイヤ滑走」(ドリフト禁止)に思うところ
2026/01/09
昨年12月25日、法制審議会の部会(刑事法(危険運転による死傷事犯関係)部会)が示した要綱骨子案には、新たな危険運転の類型として「殊更にタイヤを滑らせ又は浮かせることにより、その進行を制御することが困難な状態にさせて、自動車を走行させる行為」が盛り込まれた 。いわゆるドリフト走行やウィリー走行を念頭に置いたものだが、この「殊更に」という主観的な要件が、法運用の現場に混乱を招く懸念があると筆者は考えている 。
「走行=滑走」の物理的現実
自動車が旋回する際、物理学的にはタイヤと路面の間で微細な「滑り」が発生している。一般的なグリップ走行と、処罰対象となるドリフト走行との境界線は、実は極めて画定しにくい。特に降雪地域では、車両のコントロールを維持するために意図的にタイヤを滑らせる「スリップコントロール」が安全確保のために行われる局面もある。
「殊更に」という言葉で程度の差を表現しようとしているが、日常的にグリップ走行を行っている一般ドライバーにとって、どの程度の滑りが「制御困難」とみなされるかの予見可能性は低い。結局のところ、現場の警察官や裁判官の裁量に委ねられる「グレーゾーン」が残る形だ。
装置解除の制限など具体策を
こうした曖昧さを排除するためには、精神論的な定義ではなく、車両の安全装置に着目した客観的な基準を設けるべきだとの指摘がある。
例えば、現代の車両に標準装備されている「横滑り防止装置(ESC)」の扱いだ。雪道でのスタック脱出時などの例外を除き、公道での装置解除を原則禁止とし、これを基準に組み込む案が考えられる。
さらに、事故時の状況を記録する「イベントデータレコーダー(EDR)」において、衝突時にこれら安全装置の設定がどのようになっていたかを記録・解析することを義務付けるべきだろう。
科学的エビデンスによる法整備
「危険な意図があったかどうか」という主観の立証には限界がある。技術が進歩した現代においては、システム設定の有無やログデータといった客観的な証拠に基づき、「安全装置を意図的に切って走行したこと」自体を危険性の根拠とするような、科学的エビデンスに基づく法整備や解釈こそが求められているのではないか。
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