JOURNAL 

シネマエンドレス「コート・スティーリング」

  • #一般向け

2026/02/03

予測不能&収拾不能!
カオスが嵐を呼ぶ、アクション・クライムムービー

 1998年、ニューヨーク。メジャーリーグのドラフト候補になるほど将来有望だったものの、運命のいたずらによって夢破れた若者・ハンク(オースティン・バトラー)。バーテンダーとして働きながら、恋人と平和に暮らしていたある日、モヒカンパンクな変わり者の隣人・ラスから突然ネコの世話を頼まれる。親切心から引き受けたのもつかの間、街中のマフィアたちが脅迫してくる悪夢のような日々が始まった。やがてハンクは、自身が裏社会の大金絡みの事件に巻き込まれてしまったことを知る─が、時すでに遅し。警察に助けを求めながら戦々恐々と逃げ続けていたある日、ついに大きな悲劇が起こる。理不尽な人生に堪忍袋の緒がブチギレたハンクは、一念発起して自分を巻き込んだ隣人やマフィアたちにリベンジすることを決意する。

 若手No.1スターの一人であるオースティン・バトラーのアクション・クライム作品に、新年早々ハードボイルドが止まらない!


サブカルおじさんの推しどころ

 世界一鬱になる映画として話題となった筆者が大好きな「レクイエム・フォー・ドリーム」。日本でもヒットした「ブラック・スワン」、「ザ・ホエール」など鑑賞後に心が重苦しくなる人間ドラマを撮ってきたダーレン・アロノフスキー監督がクライム・アクションを撮るとは。ドラッグ、金、マフィア、裏切りとガイ・リッチー的な展開と思わせつつも主人公のトラウマ表現や不安感をあおる色彩やカット、ダークなユーモアなどアロノフスキーらしさ満載。筆者が人生で一番輝いていた1998年のアメリカが舞台で、ファッションやかかる劇中歌も当時のもので、人生どん底の氷河期世代の音楽好きは目頭が熱くなるだろう。監督の「何より楽しい映画を作りたかった」の言葉通りに、絶望と勇気を与えてくれる楽しい作品。なお、コート・スティーリングは野球用語で「盗塁失敗」を意味し、一般的に「チャンスを掴もうとして失敗すること」を指す。おいおい、筆者のことかな。


監督:ダーレン・アロノフスキー/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/全国公開中



担当記者


青山 竜(あおやま りゅう)

東京編集課所属。映画・音楽・芸術あらゆる文化に中途半端に手を出し、ついたあだ名は「サブカルくそおじさん」。


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