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大阪府車協、高機能塗装の見積り、塗装、磨きをテーマに 講習会を開催

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2025/11/17

 大阪府自動車車体整備協同組合(坂本浩司理事長)は10月26日、近畿自販(堺市)で高機能塗装の見積り、塗装、磨きをテーマとした座学と実演を交えた講習会を開催した。

 同講習会は、高機能塗装の未塗装による鈑金塗装の過大請求を防ぐといったコンプライアンス意識の向上を目的とするだけでなく、高機能塗装車両が入庫した際の適正な見積り・現場作業をどのように実践するかという課題に対し、経営者・フロント・技術者の各目線から見積りソフト、塗料、自補修用ケミカルの3メーカーが合同で解決に向けて取り組んだ内容となっている。

 冒頭に坂本理事長は、「高機能塗装は、適正に見積りをして塗れば会社の利益につなげることができる作業。現場で課題となりやすい磨きについても講習で取り扱うため、しっかりと学んで、利益を確保することで技術者の待遇改善にも活かしてほしい」と挨拶した。

 午前の座学では、補修塗装における一般クリヤーと耐スリ傷性クリヤーを比較した材料費率計算例の見積り時の注意点などを紹介。比率については、自社独自で設定する場合、根拠ある数値を準備する必要性を訴求した。その他、複数パネル塗装時やブース加算時の計上漏れしやすい項目といった補修塗装指数への現場での対策方法を説明した。

 また、過大請求や一般クリヤーを誤塗装する危険性についても例に挙げ、下請けであれば元請けの作業指示書や担当者への確認を促した。

 午後は、通常クリヤーと高機能クリヤーについて、トヨタ1F7・202を例に淡色と濃色の研磨傷の見え方の差を比較しながら実演。バフの当て方やペーパーの目合わせ、水拭きといった基本作業の要点から、高機能クリヤーを磨く際のポリッシャーの動線や複数個所のペーパー傷を磨き切る際の考え方などを紹介した。

その後、ボカシ塗装の作業範囲やマスキング作業時間の増加といった現場の課題について活発な質疑応答が行われた。教壇に立った松岡成治副理事長は、「高機能塗料を塗っていないのに請求することはあってはならない。コンプライアンスに則り、手間が掛かろうとも襟を正して対応する姿勢が必要」と念を押した。

 協賛は石原ケミカル、日本ペイント、プロトリオス。講師は同車協・松岡、石原ケミカル・船附、山下、山田、日本ペイント・上中、中村、プロトリオス・小川直の各氏が務めた。


挨拶する坂本浩司理事長

見積り講習

高機能クリヤー塗装

磨き作業実演