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ガソリン税「特例税率(旧称:暫定税率)」はなぜ廃止されない?1兆円減税と代替財源の矛盾
2025/08/07
自民党の税制調査会で、ガソリン価格に上乗せされる特例税率(旧称:暫定税率)の廃止が検討されていると報じられている。長引く物価高に苦しむ国民にとって、これは朗報となる可能性を秘めた議論だ。しかし、減税と引き換えに「代替財源が必要」とする政府・与党の姿勢には、疑問を禁じ得ない。減税に財源が必要とするのであれば、それは単なる予算の付け替えに過ぎないからだ。
「暫定」から「特例」へ:変質した税の歴史
そもそもガソリン税の特例税率は、かつては道路整備という特定の目的に限定された「暫定」措置だった。しかし、2010年の税制改正によりこの特定財源制度は廃止され、税は「特例税率」と名前を変え、使途を問わない国の一般財源へと組み込まれた。この結果、本来は一時的なはずの税が、今日まで事実上、恒久的な税として定着している。暫定税率が特定財源でなくなった時点で課税根拠が失われたはずであり、本来は速やかに本則のみとするのが筋ではないか。
1兆円減税と代替財源の葛藤:財政運営の矛盾
今回の特例税率廃止が実現すれば、国民の負担は年間約1兆円規模で軽減されると試算されている。しかし、この減収分を補うための代替財源の確保が必須条件のように検討されているのは明らかにおかしい。前述したように、そもそも減税した分を別で課税するのであれば、減税にならないからだ。
また、近年は税収が当初予算を上回る「税収上振れ」が常態化し、今年度は約5.5兆円となっている。税収の上振れ分を含む決算剰余金は、財政法で使途が決定められているおり、単純に財源として活用できないことは法律論としては理解いるが、納得はしかねる。
税とは国家運営の財源足り得る場合ももちろんある。特定の使途を指定し道路特定財源はまさにそれにあたる。だが、税だけが国家運営の財源ではない。加えて、税は不景気時に需要を喚起したり、一方で富の偏在を解消する役割もある。失われた30年、格差社会と言われて久しいなか、税の徴収と分配の在り方を見直すべきではないか。そうした意味で課税根拠を喪失したガソリン価格に上乗せされる特例税率は速やかに見直されるべきではなかろうか。
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