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SEMAショー 2025 レポート
整備・補修編 1
2026/01/27
ボデーリペアはデジタルへ。
AIによる自動化システムは様々な新製品に応用され、SEMAショー 2025の展示フロアを席巻した。
効率向上と環境負荷低減を両立する「シームレスなデジタル連携」が描く、業界の新たな形とは。
(写真・文:Hiroto KATO)
運転支援システムやEVの進化にも的確に対応
今年のSEMAショーにおけるボデーリペアのトピックは「デジタル化による効率向上」にあった。アメリカでも叫ばれている人手不足を解決すべく、作業者の負担を軽減させながらも品質を両立させたソリューションが各社から登場した。
SEMAショーを主催する業界団体SEMA(Specialty Equipment Market Association、米国自動車用品工業会)が選ぶ部門別新製品のアワードでは、コリジョンリペア部門のトップにRevv ADAS社のデジタルソフトウェアが選ばれた。修理工場ではますます複雑化する運転支援システム(ADAS)への対応を強いられているが、このシステムは機械学習を活用し、車種ごとに必要なADAS校正を特定してくれる。車台番号を入力することでその車種に搭載されているシステムの情報や機能、そして修理の際に必要となるメーカー指定のマニュアルなどを瞬時にリストアップしてくれる。他社が提供するコスト管理ソフトウェアや診断機との連携もアピールポイントとしており、全体で統合したエコシステムによって大幅な効率化を実現した。
SEMAが選ぶ部門別新製品のアワードで、コリジョンリペア部門のトップに選ばれたRevv ADAS社のデジタルソ フトウェア。機械学習の活用により、車種ごとに必要なADAS校正を特定し、現場の効率化に寄与する
ギネス記録の認定から始まった新製品発表
また、老舗塗料メーカー PPGは今回のSEMAショーにてユニークな形で新製品を披露した。同社の発表イベントでは、最初に来場者全員に塗装に使う塗料の調色をさせた。集まったのは275人で、なんと「同時に同じ場所で塗料を調色した」というギネス世界記録も達成したとのこと。参加者に調色の苦労を味わせた後に、その手順を簡略化させる新製品の自動調色機「SEM MixʼnʼShake」を発表した形だ。
この新製品は自動で調色を60秒以内に完了させ、専用カップのままスプレーガンに装着してすぐに塗装を開始できるとしている。これにより、年間の作業時間を6%低減、そして使い捨ての容器といった廃棄品も10%削減できるとしている。この製品も先のADASシステム同様に他の製品とのシームレスな連携が可能で、連続性・継続性を意味する「コンティニュイティ」によってリペア作業の効率を向上させようという全体的な風潮が見られる。
PPGは新製品の自動調色機・SEM MixʼnʼShake発表イベントで「同時に同じ場所で塗料を調色した」というギネ ス世界記録を達成。参加者に調色の苦労を味わせた後に、その手順を簡略化させる同品の機能をPRした
手作業に頼らない新時代のボデーリペアへ
そのほかにもSEMAショーではたくさんのデジタルソリューションが発表された。デジタル化を進めることで、これまで「作業員の裁量」に大きく依存していた作業を簡略化させるだけでなく、その過程で発生する廃棄物も削減、環境負担を減らすことが可能という強いメッセージをショー全体から感じられた。設備投資のハードルは確かにあるが、精度の向上と時間の短縮は各々の利益率の向上にも直結するだろう。
AAPEX
AAPEX(Automotive Aftermarket Products Expo)は、SEMAショーと並行してラスベガスで開催される展示会だ。会場はSEMAショーが開催されるラスベガス・コンベンション・センターではなく、タクシーで10分ほどの距離にあるホテル・ザ・ベネチアンのエキスポホールとなるので、移動が少し大変だ。SEMAショーはどちらかと言うとカスタマイズ分野に振っているのに対し、AAPEXは自動車修理に用いるサードパーティー製部品や整備工具、診断機器といった「車両の維持・修理」に特化した見本市となる。
日本からも数社の企業が出展しており、たとえば横浜市に本拠地を置くサスペンションメーカー・TEINは、AAPEXでは純正互換ショックアブソーバー、SEMAではオフロードやサーキットに特化した車高調を展示するなど、展示会ごとに出展の差別化を図っている。2025年のトレンドはSEMA同様、EVの普及と高度なADASへの対応がより鮮明となった。会場内には「EVステージ」や「ADASステージ」が新設され、複雑化する車両構造に対する最新の整備技術や、ミリ単位の精度が求められる校正手法が共有された。
会場に設けられた特設ステージの「Joe’s Garage」では複数のリフトを備えたガレージを再現、新製品を引き連れてきた各出展者がリフトと実車を用いて実演をするという手法で来場者へ売り込みをかけた。