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[連載]事例と解説ー整備業のための補助金活用講座
第7回 事例:プレミアム洗車サービス
2025/09/25
今回は、自動車販売・整備を行うA社が、新事業として洗車機を購入された事例をご紹介します。
A社は首都圏を拠点に、輸入車・国産高級車の販売・買い取りから整備、車検、カスタマイズまでを一貫して手がける企業です。国内外の超高級車や最上級仕様車など、他社が扱いづらい希少車に強みを持ち、顧客の多くは経営者層を中心とする富裕層。代表自身が輸入車ディーラー出身という経歴を活かし、車両の目利き力や高級車の査定力に加え、迅速な資金繰りによる即日振込など、独自の体制を構築してきました。また、販売後の整備や車検も自社整備工場で対応し、顧客の要望にワンストップで応える仕組みが整っています。
一方、A社の売上構成は約9割が車両販売に依存しており、定期的な収益モデルが構築できていない点が課題でした。顧客との接点も購入時に限られ、継続的な関係性が希薄になることで、リピートや紹介の機会も限定的な状況でした。また、景気や為替など外部要因によって収益が左右されやすいというリスクも抱えています。
このような背景の下、A社は自社の経営資源と市場ニーズを掛け合わせた「次の一手」として、高級車オーナー向けのプレミアム洗車サービス事業に参入することを決めました。導入する洗車機は、AIやLiDAR技術によって車体形状を自動認識し、非接触かつ純水仕上げにより塗装へのダメージを極力抑えながら、ナノレベルのコーティングで美観を維持する最新鋭機です。従来のガソリンスタンド洗車では実現できない品質を確保し、1回5,000円という高単価設定で、高級車オーナーにとって満足度の高い体験を提供します。
この洗車サービスは、単なる洗車にとどまらず「資産価値の維持」という付加価値を提供し、リピート契約や定期来店を促進することで、継続収益型のビジネスモデルへの転換を図ります。さらに、洗車履歴のデジタル管理を通じて、中古車売却時の付加価値向上にも寄与。洗車を起点に、整備や買い替え提案などクロスセル展開にもつなげる計画です。施設内には高級ラウンジも併設し、オーナー同士の交流やイベントの場としても機能させる構想で、顧客ロイヤリティー向上も狙います。
今回の事業には、ものづくり補助金を活用。総投資額は約1,200万円で、そのうち約600万円を補助金でまかない、残額は自己資金により対応します。5年後には新規事業による付加価値額が全社付加価値の約2割を占める見込みです。従業員のスキルアップや生産性向上、給与水準の引き上げといった効果も見込まれており、社内にも好循環をもたらす計画となっています。
また、地域事業者との提携強化により、地域経済への波及効果も見込まれており、「洗車+食事+買い物」といった地域回遊型の顧客動線を構築することも視野に入れています。今後は法人向けサービスやフランチャイズ展開も検討しており、地域密着型の高付加価値ビジネスとして持続的な発展を目指しています。
次回も自動車アフター業界の事業者の次の一手をご紹介します。
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筆者プロフィール

山田健一(株式会社フォーバル)
国内大手EC会社にてマーケティングを担当。その後、大手M&Aアドバイザリー会社にて上場企業の経営戦略立案やM&Aアドバイザーとして数多くのM&Aを実行支援。2016年に(株)フォーバルの事業承継支援事業立ち上げに参画。自動車アフターマーケットでの後継者問題の解決、補助金支援に力を入れている。
株式会社フォーバル https://forval-shoukei.jp/
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