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BYD、軽EVを世界初公開へ 日本市場専用の軽規格プロトタイプ
2025/10/24
公開画像から分かるのは、スライドドア付きのスーパーハイトワゴンと見られる。日本の軽EV市場は、日産のSAKURAが先行している。BYDは軽自動車規格のEVで日本の牙城に攻め込めるのか注目される
中国のEV大手BYDの日本法人であるBYD Auto Japanは22日、「Japan Mobility Show 2025」に、日本独自の軽自動車規格に準拠した電気自動車(EV)のプロトタイプを世界初公開(ワールドプレミア)すると発表した。
同社が日本市場のために海外専用設計した初めてのモデルとなり、最新のバッテリー技術である「ブレードバッテリー」を採用する。国内のEV普及の鍵を握る軽自動車市場への参入に向け、その技術力を示す狙いだ。
BYD Japan Groupは、10月29日から東京ビッグサイトで始まる同ショーの出展車両を追加公表した。乗用車部門の最大の目玉が、この「軽EV(参考出品)」である。
同社は、企業理念である「地球の温度を1℃下げる」の下、日本の特殊な軽規格に合わせたEV開発を「新たなチャレンジ」と位置づけている。BYDの高い技術力と製造技術を投入したプロトタイプが、会場でどのような反響を呼ぶか、注目が集まる。
プレスカンファレンスは10月29日に予定されており、今後発売を予定している車両の情報や、BYD Japan Groupの今後のビジョンが語られる見通しだ。
■車体整備業界記者の目線
公開された画像から、同社の新型軽EVは、スライドドア付きのスーパーハイトワゴンとなる可能性が高い。言うまでもなく、日本で最もマーケットサイズが大きい市場である一方、激戦区でもある。販売台数1位の常連、ホンダ・N-BOXをはじめ、スズキ・スペーシア、ダイハツ・タントなどの競合がひしめいている。
軽自動車のボデーでスライドドア採用となれば、気になるのはセンターピラーレスとなるかどうかだ。床面に設置されるであろう駆動用バッテリを守ることを考えた場合、センターピラーレスはかなり技術的ハードルは高いものと考えられるからだ。軽自動車のように規格に制限があり、フロアにそこまで個性を見出すことが難しい場合、ギガキャストのように鋳物でフロアを作るという方法もある。しかし、ある程度数が出る前提で作りこむ覚悟も必要であり、BYDがどのような手法を選択するのか気になるところだ。
また、これは実際に販売を開始してからになるが、電動スライドドアはユーザーによって賛否があり、電動が便利だという層と、電動は動きが遅いとして忌避する場合がある。製品の完成度も注目されるところだが、実際の販売時に選択肢をどのように設けるのかについても注目したい。このあたりの判断からも同社の日本市場の理解に関する解像度も見えてくるだろう。
このほか、駆動用バッテリの冷却は同社の従来モデルと同じようにクーラー冷媒を用いたヒートポンプ式を採るのか、それともLLCを循環させる方式を用いるのか、駆動用バッテリとリヤサスペンションのメンバーとのクリアランスがどの程度確保されるのかなど、車両の修理性やダメージ判定に影響する作りがどのようになっているのか注目したい。