JOURNAL 

BASF、「2025-2026自動車カラートレンド予測」を発表

アジア太平洋地域のキーカラーは「PHYGITAL MAGNETAR (フィジタルマグネター)」

  • #ニュース
  • #トピックス

2025/10/26

 BASFコーティングスジャパンは2025年10月15日、「2025-2026自動車カラートレンド予測」を発表。横浜市戸塚区にある同社工場敷地内で記者説明会を開催した。


 原則的に年一回アップデートされる、BASFの「自動車カラートレンド予測」は、自動車メーカーか開発する新型車のボディカラーの指針と位置付けられており、その一部は早ければ2年以内に市場投入されると考えられている。

BASF「2025-2026自動車カラートレンド予測」で提案された45種類のカラーコレクション

 2025年4月より同社の最高経営責任者に就任した篠田大(しのだひろし)氏は冒頭の挨拶で、「自動車カラートレンド予測は従来、3~5年後の市場について発表していたが、昨今環境の変化が早いことを踏まえ、今回は2年後の市場に着目。その中でもヨーロッパ、アメリカ、アジア各地域の市場トレンドを分析し反映することで、45種類のカラーを準備した」と説明。


 また、今回のテーマ「DRIVING THE PROXY (プロキシを駆動する)」について、「『プロキシ』を、新しいアイデアと現在をつなぐ『架け橋』と解釈している。消費者のニーズや社会的トレンドを考慮してデザインを落とし込むことや、デジタルな文化を通じて、製品自体もどう世の中につながるか、具体的には再生可能材料やリサイクル原料を用いて作ることも一つの方向性と捉えている」と見解を述べた。

BASFコーティングスジャパンの篠田大最高経営責任者

 続いて、自動車塗料事業部カラーアンドデザインアジアパシフィック統括デザイナーの松原千春(まつはらちはる)氏が、「2025-2026自動車カラートレンド予測」の詳細を説明。EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アジア太平洋、米州の各地域におけるキーカラーを紹介した。概要は以下の通り。


アジア太平洋地域のキーカラー:

「PHYGITAL MAGNETAR (フィジタルマグネター)」加速的な進歩と静かな外観


 シルキーなホワイトのハイライトとほのかなグリーンを併せ持つメタリックカラー。アジア太平洋地域には新興国も多く、高いスピード感でイノベーションの競争が進む一方、人間としてはもう少しスピードダウンして穏やかに生きたいとも感じ始めている。そんな相反する人工的な自然のイメージを、通常の2コート塗装でも細かなアルミフレークの粒子感が出ないよう並べられる新たな生産技術を用いて表現した。

アジア太平洋地域のキーカラー「PHYGITAL MAGNETAR (フィジタルマグネター)」について説明するBASFコーティングスジャパンの松原千春統括デザイナー

EMEA(欧州・中東・アフリカ)のキーカラー:

「TESSERACT BLUE (テッセラクト ブルー)」 次元を拡張するブルー


 鮮やかなブルーではあるが、補色の関係ではない色へカラーシフトできる先進的な干渉顔料を用い、グリーンやパープルのハイライトがほのかに見えるように色が変化する。昨今の政情不安や気候変動から見えてくる、自分たちに何が足りないのか、何があれば前へ進めるのかを明らかにし認識して、新しい視点で解決策を考えるという、多次元的な見方を色に翻訳した。

EMEA(欧州・中東・アフリカ)のキーカラー「TESSERACT BLUE (テッセラクト ブルー)」

米州のキーカラー:

「AUXETIC NEUTRAL (オーセチック ニュートラル)」 中立がアイデンティティになる場


 それほど目新しくないような刺激と質感を敢えてアイデンティティとし、それまで普通に見られていたものを一つの個性として見ることを表現した。例えばファッションブランドの中でも敢えてロゴを入れずデザイナーの名前も公表しない、だが製品自体は洗練されていて質感も高いような、一見派手ではないが味わい深いものが認められる、「匿名の著作性」を反映している。なお北米は、他の地域と比較しても、ボディサイズが大きいモデルが多いこともあり、カラーバリエーションが少ない傾向にある。

米州のキーカラー「AUXETIC NEUTRAL (オーセチック ニュートラル)」

(文・写真=遠藤正賢)