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トヨタ2026年3月期決算、売上高50兆円超えの過去最高も営業益は21.5%減

米国関税影響が1.3兆円超の減益要因に、近新社長は「現場力」とTPSへの回帰を強調

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2026/05/12

 トヨタ自動車は2026年5月8日、2026年3月期(2025年4月1日~2026年3月31日)の連結決算を発表した。売上高は前期比5.5%増の50兆6,849億円となり、過去最高を更新した。一方で、営業利益は同21.5%減の3兆7,662億円、税引前利益は同19.7%減の5兆1,529億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同19.2%減の3兆8,480億円と、増収減益の決算となった。


売上高50兆円を突破も米国関税が利益を圧迫

 営業利益の減少には、米国における関税影響が1兆3,800億円のマイナス要因として大きく響いた。為替変動やスワップ等の評価損益の影響を除いた実質的な営業利益も、前期から1兆4,400億円減少している。同社は、大きな環境変化の中で様々な改善努力を積み上げ、影響を最小化したとしている。

 利益面のプラス要因としては、高い商品力を背景とした販売台数の増加や価格改定、バリューチェーン収益の拡大などがあったが、米国関税の影響を補いきれず、減益となった。


電化車両の比率が48.1%に上昇、BEV販売は前期比約1.7倍

 連結販売台数は前期比2.5%増の959万5,000台、トヨタ・レクサスの販売台数は1,047万7千台(同2.0%増)、グループ総販売台数は1,128万3,000台(同2.5%増)を記録。トヨタ・レクサスでは、電動車の販売台数が504万台(同6.5%増)に達しており、販売台数全体に占める電動車比率は48.1%まで上昇した。

 電動車におけるパワートレーン別の販売状況では、電気自動車(BEV)が24万3,000台(同68.4%増)と大幅に伸長した。また、プラグインハイブリッド車(PHEV)は17万5,000台(同8.6%増)、ハイブリッド車(HEV)は462万台(同4.4%増)と、それぞれ成長を維持している。


近新社長による「現場力」重視の経営方針とTPSへの回帰

 2026年4月に就任した執行役員社長の近健太氏は、経営に対する想いとして「現場力」の重要性を強調した。近社長は就任以降、開発、認証、工場、仕入先、販売店などの現場を回り、課題に向き合う姿勢を示している。特に、管理・間接部門が自ら現場に入りオペレーションを支える「管理する仕事から価値を生み出す仕事」への転換が必要であるとし、トヨタの原点であるトヨタ生産方式(TPS)への立ち返りを表明した。

 同氏は、もっといいクルマをつくる人を増やすことが持続的成長のエンジンであり、自らの使命であるとしている。成長のための投資として、グローバル・フルラインアップの維持やマルチパスウェイの推進、水素社会、AI、ロボティクス、Woven Cityなどの開発に挑戦し続ける方針だ。


2027年3月期は営業利益3兆円を予想、安定増配を維持

 2027年3月期の通期連結業績予想については、売上高51兆円(前期比0.6%増)、営業利益3兆円(同20.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益3兆円(同22.0%減)を見込んでいる。新たに加わった中東情勢の影響などを考慮し、減益の見通しとなった。

 株主還元については、安定的な増配方針を堅持している。2026年3月期の年間配当は前期から5円増の95円とし、2027年3月期はさらに5円増配の年間100円を予想している。中長期目線での事業構造変革を加速し、環境変化に強い事業構造の構築を目指す方針を示している。