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[連載]準備運動(さいよう)から本番(ていちゃく)まで人材を見つめる!
第2回 理念を明確にする
2025/07/22
前回、人材採用で最も重要なこと、それは「自社にとって適切な人材を採用すること」だと書きました。
そのために初めにやらなくてはならないこと、それは「理念を明確にする」ことです。
理念は会社経営の最重要事項です。あなたの会社に「理念」がなければ、本当に欲しい人材は集まりません。
では、理念とは何か? 一言でいうと、それは「経営者の価値観と目的」です。
この価値観は、「経営者にとって絶対に譲れないもの」です。人の価値観は十人十色、どんな価値観が正しいか? 間違っているのか? ということは決めつけられるものではありません。だからこそ、経営者が自社の価値観=「理念」を明確にして、それを表明し、共感してもらえるような人材を採用しなくてはならないわけです。「お客様をだましてでも売り上げを増やし給料を上げたい」、「多少、法に触れてもラクして儲けたい」......
そんな価値観の人に会社に集まってもらいたいと思いますか?
また、目的とは、経営者が考える会社の「行先」とも言えるでしょう。
チームエルがバイブルのように尊重している本「ビジョナリーカンパニー」(ジェームズ・C・コリンズ著 山岡洋一訳 日経BP刊)では、組織をバスに例え、「そのバスに乗るべき『最適な人』を集めることこそが、偉大な企業への飛躍をもたらすために必要なこと」と書かれています。バスがどこに向かおうとしているのか......そのバスの行先(目的)が明確でなければ、バスに乗り込む人材も、それが自分にふさわしいのかどうかの判断が付きません。人材募集とは、言ってみればこの「経営者の価値観と目的」を広く発表し、自分のバス(会社)に乗り込む「適切な人」に気付いてもらうための作業なのです。
経営者の価値観と目的を見直し、会社の「理念」を明確にする。するとおのずと、自社にとって「本当に欲しい人」が集まってくる。このように人材採用のスタートを考えていただきたいのですが、多くの企業が、まず自分の会社について考えるのではなく、とにかく人材を確保する」ことに躍起になってしまいます。
自社がどんな会社で、何を価値観とし、どこに行こうとしているのか、そうしたことを宙に浮かせたままに、人手が足りないからという理由だけで募集活動を始めても、たとえ採用できたとしてもすぐに辞めてしまう、お互いが「こんなはずじゃなかった」と悲しい結末になるわけです。そしてまた、決して安くない費用をかけて募集活動を繰り返す......。このスパイラルから抜け出すために経営者がすぐに始めなくてはならないこと、それが「自社の理念を明確にすること」なのです。
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筆者プロフィール

關 友信(株式会社チームエル)
株式会社チームエル 取締役CMO。2006年に愛車広場カーリンクのチェーン展開開始と同時に、カーリンク基礎研修の開発に着手、その後も直営店の出張査定センターのマネジメントやディーラーコンサルティングなど、幅広く様々な仕事を経験、2014年からはCaSSの会員制度を立ち上げ、会員向けのサービスや企画を開発。
株式会社チームエル https://team-l.co.jp/