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日米、自動車関税引き下げで合意 自工会は「壊滅的影響緩和」と歓迎

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2025/07/25

石破総理は24日、米国との間で関税措置に関する合意に至ったと発表した。特に自動車および自動車部品に関して、今年4月以降に課されていた25%の追加関税率を半減し、既存の税率を含めて15%とすることで合意。数量制限のない自動車・自動車部品関税の引き下げを実現した。

この合意を受け、一般社団法人日本自動車工業会(自工会)の片山正則会長は23日、「今回の合意により、サプライチェーン全体を含めた日本の自動車産業への壊滅的な影響が緩和されただけでなく、米国のお客さまにとっても最悪の状況は避けられたことを歓迎する」とのコメントを発表した。

日本の「関税より投資」戦略が奏功

今回の合意は、日本の「関税より投資」という提案が実を結んだ形だ。石破総理は、2月のホワイトハウスでの首脳会談以来、この方針を一貫して米国に主張し続けてきたと説明。農産品を含め、日本側の関税を引き下げることは合意に含まれていない。また、相互関税についても、当初25%まで引き上げられるとされていた日本の関税率を15%にとどめることができた。これは、対米貿易黒字を抱える国の中で最も低い水準であるという。

自動車産業への影響と今後の支援

今回の自動車関税の引き下げは、日本の自動車産業にとって大きな朗報となる。追加関税の負担が軽減されることで、米国市場での競争力維持に繋がる。自工会は、「開かれた自由な貿易に基づくビジネス環境を引き続き所望する」との基本的な立場を改めて示し、今回の合意が日米両国の自動車産業を取り巻く環境を今後さらに改善させることを期待している。

政府は、今回の合意による品目ごとの関税率について、全国約1,000か所の特別相談窓口で丁寧に説明できるよう、速やかに措置を講じるとしている。特に中小企業・小規模事業者からの資金繰りなどに関する相談にも丁寧に対応する方針だ。自工会は、日本政府に対し、「グローバルなビジネス環境を維持発展していくためにも、引き続き、更なる関税の軽減も含めた米国との未来志向の対話を継続していただくとともに、日本の自動車産業を維持していくためのサプライチェーン支援や、国内需要喚起に向けた恒久的な措置等を切望する」と要望している。

経済安全保障と対米投資

一方、日米両国は、日本企業による米国への投資を通じて、半導体、医薬品、鉄鋼、造船、重要鉱物、航空、エネルギー、自動車、AI(人工知能)・量子といった経済安全保障上重要な分野で、強靱なサプライチェーンを構築していくことで合意した。

これに関連し、日本政府は政府系金融機関が最大5,500億ドル規模の出資、融資、融資保証を提供可能にすることで合意したと説明。これはJBIC(国際協力銀行)による出資・融資、NEXI(日本貿易保険)による保証を活用するもので、今後、両機関が円滑に業務を実施できるよう、資本強化などの必要な措置を講じる考えを示した。

石破総理は、今回の合意が日米両国の国益に合致するものであり、日本の経済安全保障の観点からも極めて重要であると評価した。緊密な日米関係は、両国のみならず、インド太平洋および国際社会全体の安定と繁栄に不可欠であると改めて強調した。