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[工場ルポルタージュ]All Car Support KIRIHARA(沖縄県豊見城市)
技術者、経営者として唯一無二の工場を育てる
2025/09/10
那覇空港から近く、糸満市や那覇市など交通量の多い都市に隣接する豊見城市。一般整備だけでなくデントリペアもサービス
メニューに加え、幅広い顧客層を獲得するAll Car Support KIRIHARA(切原康成社長)を訪ねた。
【工場概要】
社長 : 切原 康成
住所 : 沖縄県豊見城市与根508-2
設立 : 2010年
スタッフ数 : 1人
技術者としての原点とアメリカでの挑戦
All Car Support(オールカーサポート)の社名通り、同社の業容は一般整備、鈑金塗装、デントリペア、ウィンドリペアなど自動車修理全般をカバーする。その背景には、切原康成社長の技術者としての経歴が影響している。
沖縄カーディーラーの整備部門で、唯一の法人担当としてタクシー車専門の整備技術者として約7年間従事。その後、整備技術をさらに磨くため単身で渡米。しかし、日本と比較して部品価格の安かった米国では、ブレーキなどの分解整備はほとんどせず交換整備が主だったと言う。「このままでは自分の整備技術が鈍ってしまう」と危機感を覚えた切原社長は、「このままアメリカにとどまって働いてほしい」という声を振り切り約9ヵ月で帰国。その後、県下のタクシー会社の鈑金部門の門を叩いて鈑金技術を独学で学び、さらに腕に磨きをかけた。
2010年には整備工場として同社をスタート。創業当時は、「ディーラー整備時代の専門性を武器に、タクシー会社へ足を運び営業していた」。出張整備を軸に、オルタネーターなどの部品のオーバーホールにも対応することで、ディーラー整備との違いを明確にし、徐々に顧客を獲得していった。その高い技術力とていねいなサービスが反響を呼び、高い顧客満足度からリピーターも少なくなかったと言う。
その後、他社の整備工場と差別化を図るため、大阪のデントリペアスクールへ通い、デントリペア及びウィンドリペア技術を習得。2016年には本格的に両リペアをサービスメニューに追加した。
業容の多角化でサービス拡充へ
現在、車検・一般整備は親しい顧客からしか受注しておらず月に10台ほど。主な入庫はデントリペア:約30台、ウィンドリペア:20~30台で、約50~60台を1ヵ月で処理する。加えて、今年3月末に愛知県で降ったひょうの影響で、沖縄へ出荷される予定の新車がひょう害車となり、ディーラーからその修理依頼が絶え間なく舞い込んでいた。4月から対応に追われ、通常入庫とは別に約2ヵ月半で70台ほどを処理したと言う。そのため、午前はデントリペア出張修理、午後は保険修理のひょう害車対応というのが最近の日々のルーティーンになっている。
現場では、同じデントリペアスクールの卒業生である若い技術者が来ており、切原社長の技術を学びつつひょう害車対応を手伝っている。「飛び石のフロントガラス修理も毎日1台以上依頼が来るから、もう少し居てほしい気持ちもある」という本音も語ってくれた。
今後は新たなサービス拡充に取り組み、座席シートなどのインテリアリペアを学ぶ予定。沖縄に限った話ではないが、「旧車を含めたパーツ部品の供給が減少傾向にあり、部品代の高騰や部品仕入れ待ちによる修理期間の長期化が重なると、処理台数の減少による粗利の低下を懸念せざるを得ない」と言う。その上で、「トータルカーサービスとして、地域の同業他社がまだ充分に提供できていない技術を顧客に届けることで、差別化を図り続けていきたい」。
切原康成社長