JOURNAL 

シネマエンドレス「スマッシングマシーン」

「男たち、でてこいやー!」UFC最強の男がPRIDEを賭けて己と試合に挑む!

  • #一般向け

2026/05/11


〈最強の男〉が己の脆さを知った時、PRIDEを賭けた本当の闘いが始まる


1997年の総合格闘技デビュー以来、無敗のままUFC王者へと上り詰めたマーク・ケアー(ドウェイン・ジョンソン)。

圧倒的な破壊力から〈スマッシング・マシーン=壊し屋〉と呼ばれ、日本の総合格闘技イベントPRIDEにおいても快進撃を見せ、“霊長類ヒト科最強の男”として高い人気を誇っていた。

だが、連勝を続ける一方で、怪我による慢性的な痛みと敗北への恐怖に蝕まれ、次第にオピオイド系鎮痛剤に依存するようになっていた。

やがて、初めての敗北を喫した最強の男は、控え室で人知れず涙を流す。彼は、その弱さを誰にも見せることができずにいた。

再起を図り依存症と戦う一方で、恋人ドーンとの関係も険悪になっていく。多くの痛みを背負いながら、それでもリングに立つケアーが最後に辿り着く“本当の強さ”とは一体̶̶。

第82回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した、挫折と再生の道を歩んだマーク・ケアーの知られざる軌跡を描いた〈実話〉がいよいよ公開。



©2025 Real Hero Rights LLC


サブカルおじさんの推しどころ


筆者が毎回のように紹介するA24作品。監督は以前紹介した「マーティ・シュプリーム 世界をつかめ」のジョシュ・サフディの実弟であるベニー・サフディ。

リアリズムを追求した映像と人間が持つ脆さと再生力を克明に映し出し、ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞した話題作。

プロレスラー“ザ・ロック”として世界中に愛されたドウェイン・ジョンソンが演じる主人公マーク・ケアーの特殊メイクがもんのすごい。すごすぎて、普通の人だったらワイルドなスピードで走ったり、ジャングルをクルーズしたりするあのドウェインと分かる人はそこまで多くないだろう。なんなら、筆者はあのパンプアップされた筋肉でようやく理解できたほどのメイクなのである。


俳優陣も格闘技好きには豪華そのもので、「男たち」と言われると「出てこいやー!」と返してしてしまう往年の格闘技好きなら誰もが知るマーク・コールマンをベラトール世界チャンピオンのライアン・ベイダーが!

そして、UFC殿堂入りもしているバス・ルッテンはまさかの本人役で出演!

2人ともお世辞を抜きに、格闘家とは思えないほどの演技をしており、二人を知らない人からしたら、普通に俳優が演技していると思っても不思議はないほどの役者としての完成度を魅せる。


©2025 Real Hero Rights LLC

また、日本の格闘技好きを熱狂させた「PRIDE」を舞台にしており、日本人も数多く出演。現在は「RIZIN」のCEOを務める榊原信行氏を大沢たかお。

北京オリンピック柔道男子100kg超級金メダリストで現在は格闘家の石井慧はケアーと対戦するエンセン井上役、オアシズの光浦靖子は「PRIDE」の記者会見で進行・通訳を務める女性役をそれぞれ演じる。

また、「PRIDE2000」開幕戦オープニングには布袋寅泰が本人役で出演するなど、日本人だったら思わず見入る演出が多い。

作中は2000年初頭の設定だが、上野のガード横のシーンで「当時は麺屋武蔵 武骨相傳はなかったぞ」とか、新宿歌舞伎町のシーンで「一番街入り口のドトールがビルになってるじゃないか」と口を挟むのは無粋。

しかし、なによりも無粋なのは【マーク・コールマン=ライアン・ベイダー】がめちゃくちゃ似ていないことにつっこむこと

似せる気がまったくないというこの潔さこそ、男であり、この作品のPRIDEなのである。だが、本当にケアーの心の弱さを支える名演技を見せてくれるのでそこは安心してもらいたい。

歌舞伎町や繁華街を舞台にした反社会勢力の方々がやりたい放題するゲームにゲスト出演した190cmを超える柔道家の方はこのベイダーの優しくて強い演技を観て反省をしていただきたいくらいである。



横道に逸れてしまったが、我々が知り得ない格闘家の苦悩と悲しみを自身と重ねるかのように演じたドウェイン・ジョンソンの演技力、「プラダを着た悪魔」や「クワイエット・プレイス」シリーズでおなじみのエミリー・ブラントによる精神的に不安定な恋人役も要注目。

それにしても最近のA24は日本推し作品が増えている気がする。もしかしたら兄弟揃って日本に来日し、「マーティ・シュプリーム 世界をつかめ」と同時期に撮影したのではないかと思うほど、日本推しが強く、なんとなく嬉しい気持ちになる人は多いだろう。

G.Wが終わり、再び戦いの場に戻った人たちに贈りたい、自分と世間との闘争に負けた男の再生の物語。




©2025 Real Hero Rights LLC


監督・脚本:ベニー・サフディ

配給:ハピネットファントム・スタジオ

5月15日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開