JOURNAL 

日産アリア(FE0、SNFE0)BPのポイントは?【売りたい車図鑑】

ボディとバンパーを一体で塗装・焼き付け、全塗色にスクラッチシールドを採用。サイドレーダー調整は動的エーミング

  • #特集

2023/08/31

【BPのポイント】
 新開発の「EV専用プラットフォーム」を採用し、高張力鋼板を積極的に採用。590MPa級以上が60%以上、ホットスタンプ材も約10%に達している。

 骨格ではフロントサイド・クロスメンバー、床上とフロア中央のメンバー、ダッシュパネル脇の斜めのメンバー、リヤサイドメンバーの前側に1.8GPa級のホットスタンプ材を使用。

 このうちフロアクロスメンバーは、両端の一部をレーザーで焼きなまし、980MPa級に強度を落とすことで、駆動用バッテリーが搭載されていない車体外側の部位をクラッシャブルゾーンとしている。その他詳細は下記記事をご参照されたい。

日産アリアのホワイトボディ:フロントにボルト締結を多用し修理費低減に配慮【人とくるまのテクノロジー展2023横浜】
https://bsrweb.jp/news/detail.php?id=001520

日産アリアのホワイトボディ

 また、フロントサスペンションアッパーマウントの補強板には6000系のアルミニウム合金を使用。バックドアを樹脂製とするなど、その他の軽量素材も積極的に用いている。

樹脂製とされたバックドア

 なお、新世代の車両生産技術「ニッサン インテリジェント ファクトリー」を導入した栃木工場で生産されるアリアでは、低温で硬化する新開発の水系塗料を用いることにより、ボディとバンパーの一体塗装・焼き付けを実施。「使用エネルギーを25%削減しつつ、水系塗料で世界最高水準の高意匠塗装を実現している」(日産自動車発表資料より)。

栃木工場における日産アリアの一体塗装・焼き付け工程

 そのため、一般的な車両ではまま見られる、新車時より発生している金属製ボディ外板と樹脂製バンパーとの色ずれが、アリアで発生する可能性は極めて低い。特にバンパー単体を補修塗装する際は、調色により高い精度が求められる。

塗装工程の新旧比較イメージ図

 ボディカラーは、ローンチエディションの「リミテッド」に専用色として、

・NBQバーガンディ(PM)/GATミッドナイトブラック(P)(2トーンカラーとしての塗色コードはXGG)
・KAYシェルブロンド(M)/GATミッドナイトブラック(P)(同XGV)

を設定したほか、

・CBC暁-アカツキ-サンライズカッパー(M)/GATミッドナイトブラック(P)(同XGJ)
・QBEプリズムホワイト/GATミッドナイトブラック(P)(同XGA)
・GATミッドナイトブラック(P)

の、2トーン4種類、モノトーン1種類を用意。

 カタログモデルの「B6」FF車にはこのほか、

・KADダークメタルグレー(M)
・DAPミッドナイトパープル(RM)
・NBAカーマインレッド(CM)/GATミッドナイトブラック(P)(同XGD)
・RCJディープオーシャンブルー(P)/GATミッドナイトブラック(P)(同XGU)
・KBYステルスグレー(P)/GATミッドナイトブラック(P)(同XGH)
・K23ブリリアントシルバー/GATミッドナイトブラック(P)(同XGB)

の、2トーン6種類、モノトーン3種類を設定。総計11種類のカラーラインアップとなっている。

 これらのいずれも、耐スリ傷性クリヤー「スクラッチシールド」をバックドア以外の外板に塗布。つまり、前後バンパーにも「スクラッチシールド」を塗布しているため、補修塗装の際は特に気をつけたい。

 加えて、フロントサイドレーダーが「プロパイロット2.0」装着車、リヤサイドレーダーが全車に装着されるため、前後バンパーのレーダー照射範囲を基材まで損傷した際の修理・パテ補修・塗装は、タッチアップペイントを含めて一切不可。パンパーの交換が必要となる。

 なお、前後サイドレーダー脱着・交換後の調整は、自走による動的エーミングにより行われる。そのため専用のターゲットなどは不要だが、一定の条件を満たした公道上で規定時間内に行う必要があるため、安全に細心の注意を払うことが求められる。詳細はサービスマニュアルを参照されたい。


(文=遠藤正賢 写真=遠藤正賢・日産自動車 図=日産自動車)

前後サイドレーダー装着位置と、不適切なバンパー修理前後のレーダー照射イメージ図(出典:日産アリア取扱説明書)