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自己修復型耐スリ傷性クリヤーの未来を変える!? 常温でも短時間で傷が治る「自己修復ポリマー」【人とくるまのテクノロジー展2022横浜:トヨタ紡織】
柔軟性・弾性・引っ張り強度とも高く、植物由来のモノマーを用いるためサステイナブル
2022/07/24
2022年5月25~27日にパシフィコ横浜で開催された自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展2022横浜」(主催:自動車技術会)で、トヨタ紡織は植物由来の「自己修復ポリマー」を初出品した。
切断後接合された「自己修復ポリマー」の短冊状試験片
トヨタ紡織の「自己修復ポリマー」は、植物由来のモノマーと物性制御部位をポリマー合成し連結したもので、同社はよりサステイナブルな(持続可能性の高い)材料と位置付けている。
既存の自己修復材は、傷を修復したり切断された部位同士を再接合したりする際、熱や光などの外部刺激が必要となる。だがトヨタ紡織の「自己修復ポリマー」は、それらの外部刺激がなくとも材料自体がごく短時間で自発的に修復・接合する。
「自己修復ポリマー」の分子構造
トヨタ紡織ブースには「自己修復ポリマー」の短冊状試験片が出品されており、実際にハサミで切断した後、切断部位同士を圧着し、約4秒ほどで再接合することを体験できるコーナーを展開。サンプルは非常に柔軟性・弾性が高い一方、接合後は強い力で引っ張っても修復部位からちぎれることはなく、高い引っ張り強度を備えていることが確認できた。
接合した「自己修復ポリマー」を用いた高速引っ張り試験の様子
またブース内の動画では、高速引っ張り試験の様子や、水中でも常温の大気中と同様に問題なく接合できる様子、細かく切断したのち一ヵ所に集めた「自己修復ポリマー」が自然に接合していく様子が披露された。
細かく切断されたのち自発的に接合した「自己修復ポリマー」
トヨタ紡織の「自己修復ポリマー」はエアレスタイヤや、水道管同士を接合するための接着剤など、幅広い用途への活用が期待されている。もしこの「自己修復ポリマー」をクリヤー塗料に適用できれば、常温で傷を自己修復できることに加え、弾性が高いため根本的に傷が入りにくい、極めて高機能な自己修復型耐スリ傷性クリヤーが実用化されることになる。今後の開発の進展に注目したい。
(文・写真=遠藤正賢 図=トヨタ紡織)
「自己修復ポリマー」の主な想定用途
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